イランの戯曲『白いウサギ、赤いウサギ』は「観客の前で初めて台本を開いて読み始める」と指定された戯曲。「2011年の初演から5年間のうちに20カ国語以上で1000回を超える上演、世界的ヒット作」。そりゃそうだわ!何も知らず観るべし!
その場にいる(と想定される)複数の人間それぞれが双方向に、多彩の演劇体験ができる仕掛けでした。頭と体の活性化!
堀さんの戯曲読解力、適応力、包容力、エンターティナー精神に感動。
満足度★★★★
鑑賞日2016/12/15 (木)
「白いウサギ、赤いウサギ」占部房子さんの回を観劇。
シアターウエストのお隣のアトリエウエストで、室内横長スペースを活かし、簡素なテーブルと脚立が一つあるのみ。
おずおず?こわごわ?と登場され、観客監視の中、封をされた袋から誰も目にしたことのない新品の台本を取り出し、まずは演者一人が戯曲と対話するようにそのまま壁をバックに始まるが、始まってしまえば役者としての本能が動き出したのか、リーディングのような一人舞台のような観客を巻き込んでのワークショップ的な観劇となった。自分もあの場に立たされるのではないかと見ていながらヒヤヒヤしており、正直、舞台の中身はあまり覚えていないのが悔しい。
上演時間が70〜90分とアバウトだったが、内容がわかってしまえば納得の時間。
満足度★★★★
滅多に触れられない国/域の「演劇」を短編リーディングで手軽に観られる機会だが、毎度の年末。今年は運よく早くに公演チラシを手にして、2編中1編を観劇。
俳優一人によるリーディングで、毎ステージ異なる読み手で計4回。これが変わり種の台本で、俳優・観客ともにスリリングな体験となる。作家の言葉を代弁する俳優は純粋な意味で作者の媒介となっており、作者の自由奔放にしてある意志に貫かれた言葉が、観客を、俳優を揺さぶり、時に卑近な、時に壮大で高邁な思想の次元に導く。こうして過ぎる「時間」が意識される。
作家と、そこから距離を隔て、また時をも隔てた我々との「関係」とは何か・・単なる「芸術作品とそれを鑑賞する者」を超えた意表をつく呼びかけに戸惑い、ほくそ笑み、考えをめぐらす時間だった。