満足度★★★
翻訳劇選択の難しさを感じる
アメリカは、日本にとって、卑近な国ですが、アメリカの戯曲は、ともすると、ほとんど縁のない国の戯曲よりも、共感性の乏しさを感じる場合があります。
この作品も、私にとっては、縁遠く感じられた芝居でした。
そもそも、日本の一般家庭においては、政治の話題で、家族が論争するようなシチュエーションがほとんどないという現実。そういう国柄の違いのせいで、この戯曲には、普遍的テーマをみつけにくいと感じました。
それがあってか、役者も、役の人生感を、体に落とし切れていないようなちぐはぐさを感じてしまいました。
それに、この作者の、技量的にも、まだ発展途上の雰囲気を感じます。
作者の頭で書いたセリフが多く、その登場人物の肉薄した言葉として、観客に伝わらないもどかしさを随所に感じました。
一幕が、冗長に長く、2幕は、怒涛の展開を急ぎ、芝居構成の配分にも、まだ熟練さが不足して、中だるみを感じました。
たぶん、キャストも、どこか腑に落ちていないのではと感じました。
青年座のベテランの方々をもってしても、この戯曲を演じ切るのは、至難の業という印象でした。