満足度★★★★
俳優三谷さん、なかなかでした
エノケンは、大好きで、子供の頃、何度も、オペレッタのLPレコードを擦り切れる程、聴いては、「ベアトリ姉ちゃん」などを歌い踊っていた私。
だから、懐かしいメロディに胸がワクワクしました。
猿之助さんは、普通の芝居に出られた最初の頃は、まだ役者として硬い演技をしていらしたのに、この舞台では、歌舞伎役者だと忘れてしまうくらい、エノケンに憧れ続ける、市井の旅芸人を、軽妙洒脱に演じていました。
だから、時々、遠目で観ると、いとこの香川さんと錯覚するような瞬間もありました。
久しぶりに、役者としての三谷さんを拝見しましたが、こちらも、生真面目に演じていらっしゃるのが、逆に、笑いを誘い、あっぱれな役者振りでした。
どこか、長谷川伸の股旅ものや、新派の舞台を想起するような、人情劇の趣き。
笑いと、悲哀のバランスも、ちょうど良い塩梅で、万人受けする作品だと思いました。