満足度★★★★
鑑賞日2016/12/24 (土)
座席1階B列
エノケンの偽物の半生。
全人生をかけてエノケンを演じエノケンになりきる
「本物のニセモノ」の壮絶な人生。
笑えるのに、泣けてしまう。
役者の三谷さんも、またいい味です。
市川猿之助さんの安定したなりきりぶり、
浅野和之さんの盤石な演技、
何よりも今や超売れっ子の吉田羊さん演じるエノケソの妻、
さっぱりした感じが上手い!さすがです。
満足度★★★★
三谷幸喜作舞台を初観劇。サンシャインボーイズとか伝説だしシアタートップスは既に無かったし(年表的にはさほど「昔」でも無いらしいが)。近年演劇作品をコンスタントに打ち出しているので、映像の仕事が減ったか演劇熱を再燃させたか、いずれにせよ「往時の勢いに及ばず・・」等と失礼ながら勝手に見越して観に行った。
三谷的世界を発見。伏線とその独特な回収、笑わせ方の妙が三谷的、と納得するものがあったが、序盤で笑いを取りそびれているように見え、世田谷パブリックを奥行き浅く使ってるのに広く感じる。「毒」を期待したところへウェルメイドの風が流れると、やや肩透かし。だがそこは猿之助の人情を震わすワザが十二分に補い、最終的には熱烈なエノケン・ファンたる人物像がオーラスのオチを堅固にした。
終幕の構図の美しさを見るに、この瞬間のために作られた構造物としての脚本が三谷氏の「仕事」なのであるな・・という印象だ。(過去作品で映画化されたものなどを観ての印象がそう。)
ただ、やはり伏線とオチが約束する「どう演じてもさほど外れのない」という意味での完成度の高い脚本は、「演劇」をある一面的な魅力に押しとどめてしまう面もあるという、(ウェルメイド品への)実感を裏付けもした。俳優が「人間」として複合的・多面的に持つ「リアル」を捨象してしまわずに脚本の構成の妙を生かす、両立の難しさを思う。三谷氏がそれを志向したならまた面白い代物になるかも・・。三谷演劇素人の感想。
満足度★★★★
俳優三谷さん、なかなかでした
エノケンは、大好きで、子供の頃、何度も、オペレッタのLPレコードを擦り切れる程、聴いては、「ベアトリ姉ちゃん」などを歌い踊っていた私。
だから、懐かしいメロディに胸がワクワクしました。
猿之助さんは、普通の芝居に出られた最初の頃は、まだ役者として硬い演技をしていらしたのに、この舞台では、歌舞伎役者だと忘れてしまうくらい、エノケンに憧れ続ける、市井の旅芸人を、軽妙洒脱に演じていました。
だから、時々、遠目で観ると、いとこの香川さんと錯覚するような瞬間もありました。
久しぶりに、役者としての三谷さんを拝見しましたが、こちらも、生真面目に演じていらっしゃるのが、逆に、笑いを誘い、あっぱれな役者振りでした。
どこか、長谷川伸の股旅ものや、新派の舞台を想起するような、人情劇の趣き。
笑いと、悲哀のバランスも、ちょうど良い塩梅で、万人受けする作品だと思いました。
満足度★★★★★
観てきた!
昭和の喜劇王エノケンに憧れ、偽物として生きることに一生を捧げた一人の男の物語。
お話としてはベタというか王道的な展開なのだけど、やっぱり面白い。
変に奇をてらったお話より期待を裏切らない作品の方が素直に楽しめますね。
最期の場面は鳥肌ものでした。
その瞬間、時が止まったように開場中息を吞むのが分かるほどでした。
ハッピーエンドではないかもしれないけれど、
何かじんわりとなれるようなラストで、観劇後感がとてもよかったです。
三谷幸喜作品は初めての観劇。
軽妙でコントのようなゆるめのコメディで、テレビドラマっぽい構成でした。
エノケソ一座の各地でのドタバタ騒動を1話完結で描いていけば、
そのまま1クールもののテレビドラマになりそうです。