償い 公演情報 teamキーチェーン「償い」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    観る前からの
    チラシが物語の発端という手の込んだ公演。
    物語は「償い」なのか「復讐」という表現が相応しいのか。償いという語感は、当事者に主体的に何かをさせる、というイメージを持っていたが...。それゆえラストシーンの尻切れトンボの感が気になるところ。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは左右対称で、高さのある舳先のような三角形をしており、客席側にあるブロックを取り外しをしていく。また上部は客席側に傾斜しており、そこでの演技は不安定なようだ。また上部には2つの出入り口があるが、その違いは場所の違いを表している。

    梗概..中学時代の同級生が自殺したようだ。そして仲の良かった仲間が久しぶりに再会するところから物語が始まる。集まったクラスメイトには次々と不幸な出来事が...。このメンバーがいつも集まっている店は元教師が経営しているが、魔の手はこの店をも標的にしていた。集まっているのは中学時代にある生徒を苛めていた。もっとも会話からは苛めという意識はあまり持っていなかったようである。

    この苛めのシーンがチラシの表。裏山で黒子を苛めて喜んでいる様子。裏はその逆で家族などの悲観した様子。そこには喪服の姿も映っている。物語の発端は当時の彼ら彼女らとっては些細ないたずらであったかもしれないが、その対象になった生徒にしてみれば苛め...そのトラウマが引き篭もり、家庭内暴力へとエスカレートしていった。
    苛められていた生徒は家庭内暴力を始め、それに耐えかねた父親が...冒頭シーンへ繋がる。この生徒には姉がおり苛めを行っていたグループの一人と付き合っており、その偽装?恋愛によって色々な情報を入手していた。

    序盤...演劇の定番の如く登場人物が全員登場し、不規則にブロックを外していく。いったん人的なものが破壊(解体)されたら、構築物のように補修して元に戻すことが出来ない。ラストシーンは廃墟のようになった場所の上(いつも集まっていた店)で犯人と思しき姉が召喚されるイメージのところで終わる。最近のteamキーチェーンの公演に比べて救いがないと思う。
    舞台美術の傾斜、その不安定な構造、新聞・紙幣・徳利・TVリモコンなどの小物はすべて白。不気味な様相を様々な演出で表現しており、細部に拘りが見られる。

    一方、ラストシーンは犯人と思しき人物と対峙することなく尻きれトンボのような感じである。愚行による孤独、さらには家庭内での蛮行。実はその部分が描かれておらず、この償いもしくは復讐に至る過程の描きが弱いと思う。諦観に向かうところへの思いは観客が想像するということか。それともその先の説明は無用と切って棄てたのか。
    観客(自分)にしてみれば、この諦観を託されただけでは物足りないし、この余韻は残酷のようにも思うのだが...。

    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2016/12/02 23:44

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大