100人のタナカ! 公演情報 PocketSheepS「100人のタナカ!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    観た目より深い内容
    「世界がもし100人の村だったら 」という話...世界には60億人強の人がいるが、それを100人の村に縮めるとどうなるか。インターネットを通じて世界的に流布した人々の相互理解、相互受容を訴えかけるもの。世界には人種、性別などいろいろな人がいて、それぞれが認め合いながら生きている。しかし、実態(現実)は色々な意味で差別などがある。

    本公演は、現実の世界ではなく、天才科学者である田中士郎の脳内とシンクロする仮想もの。人の感情は時や場所、状況などによって違うし変化もする。その感情表現は100どころではないだろう。人は時として自分自身をも持て余す色々な感情を抱え、その気持にうまく折り合いをつけて生きている。
    物語の発端は「愛」であるが、その人間的感情と”AI”が絡むような面白さもあった。
    (上演時間2時間10分)

    ネタバレBOX

    物語は、人間の脳へのアクセスを可能にするコンピューター『QUEEN』 その開発途中、手違いで開発者が意識不明になるという事故が起きる。 そのためには彼の脳に入り込み、原因を取り除くこと。

    彼を愛している女性・藤乃杏梨(和泉奈々サン)が彼の脳内へ行く。その世界にはいろいろなキャラクター存在する。その衣装も様々で、一瞬コスプレ行事かと勘違いするような。しかし、その現れる人たちは全てタナカであり、彼の感情のようである。例えば当日パンフによるタイプ別...インディアン(情深い)・女王・魔女(孤高・世話好き)・裁判長(判断力)・将軍(自尊心)があり、物語にも登場する。それぞれの衣装もそれに相応しい。それぞれは田中士郎(崎嶋勇人サン)の感情を担った擬態である。それらが闘いもするが、彼自信の葛藤の表れであろう。

    この物語で重要なのは、「愛」という思い。士郎が事故を起こしたのも恋している女性のことを考えていたから。もちろん長時間・過密労働という事情もあろう。そして、この士郎の脳内へ危険も顧みず浸入するのも、彼を愛しているからこそ。
    この愛=AI「人工知能」にも通じるようで、人間が知能を使ってすることを機械にさせようとする、その感情操作のような少し怖い面も感じる。

    さて、意識が回復しない原因は、田中士郎本人の感情にあるようだ。脳内に現れる田中士郎は「建前」、女王(QUEEN)は「弱さ」...そして「本音」の擬態化は誰か。また、杏梨の恋は成就するのか...。
    闘いアクションや笑いネタ、伏線もめぐらせ面白いが、物語を収束させる力や納得度が弱い。なにより余韻が…。
    それでも意味深で、面白味のある公演であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2016/10/18 23:04

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