アイムオールウェイズバッド 公演情報 荒川チョモランマ「アイムオールウェイズバッド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    平成的下流系純愛物語...昭和金銭的悪意かも...
    ブスが主役というのも珍しいが、この主人公の肖像を彫り込みながら、その周りに登場する人物の描き方は表層的である。主人公の回想もしくは妄想した中で、見聞きした話と彼女がそれぞれの相手から受け取る感情から類推して物語は展開していく。
    もっとも、全て受身であるが、それには理由が...。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    物語は彼女が病院(精神科)に入院しているところから始まる。なぜ病院に入院しているのか、記憶喪失ゆえに自分の名前すら覚えていない。この彼女の記憶を辿る旅路のような物語である。

    舞台セット...段差ある舞台上は、市松模様の床、中央にベットが置かれ、その脇に点滴器具。上手側は病室出入り口がある。その段差下は病院外の道。病室下手側には大きな窓(ガラス)。ぬいぐるみが置かれ、ファンタジックな雰囲気も漂うようである。
    物語はサスペンス・ミステリー風であるが、その描き方はコメディ・ポップ調で可笑し味があるもの。

    一人芝居ではないが、主人公の一人称のような語りで、周りの人物達の思惑がその視線に入り混じり、彼女の過去、今の暮らしが次々炙り出される。終盤は、入院するまでの過程が怒涛の如く現れる。その謎解きが高揚と胸騒ぎを覚えさせ、観客に複雑な感情の揺さぶりを仕掛けてくるようだ。
    ベットの上に横たわる姿は、現実(今)での回想シーン、ベットを下りて床で飛び跳ねる姿(アイドル)は過去の回想シーン、その虚実にも似たような、または綯交ぜにした描きは巧い。段々と現実に近づくにつれて楽しい空想(虚像)が、現在の暮らしに侵食され、哀しさが際立ってくる。それは、経済(金銭)的なことであるが、それは自ら招いたこと。

    本公演、昭和テイストが所々に表れる。例えば、歌謡曲「昭和枯れすすき」、キャンディーズの最終公演から、アイドルから普通の女の子へ戻りたい、と言うフレーズ。更に、同情するなら金をくれ...。懐かしさと郷愁を感じる。

    終演後、作・演出の長田莉奈 女史と話をした時、雲に隠れた空(素裸)模様を心配していたが、自分は気にならなかった。それよりも再演可能にするには、主人公・美直子役(今回は えみり-ゆうなサン)を確保できるかな。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/10/10 16:57

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