満足度★★★★
こういう語り口だからこそ描きうる凡庸さ
気負わずに観ることができて、素敵にラフな物語の展開や踏み出しもあって、ドキッとするような色香も差し入れられて・・・。
でも、そうして描き出されるものが、やがてフォーカスを定め、ステレオタイプにならず、しっかりと、実存感をもって、ある意味凡庸な登場人物の生きる感覚を浮かび上がらせることに惹かれる。
こういう、どこかコミカルで、遊び心をもち、ちょっと緩めななかに、キャラクターが抱くものがぶれずにクオリティをもって、削ぎ出されていくのは、実はとてもしたたかだとおもう。
こういう語り口でなければクリアに描きえないであろう凡庸さの肌触りを、あっと驚くリアリティとともに受け取り、素敵に得心させられてしまいました。