際の人 公演情報 際の人」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★

    ハードボイルド人情劇
    やはり三谷さんの人柄なのか、優しく暖かい作品でした

  • 満足度★★★

    際なのは誰か?
    中途半端で有言不実行を絵に書いたような男を添野豪が丁寧に演じているが、ドラマの中に点在する回想シーンが2010年の『夜も昼も』を想起させる。笑いもあるし、毒もあるという文月堂独特の感触の作品であるとは言える。平凡に生きているようで、実は瀬戸際にいるということがタイトルなのだろうが、そのことが分かりにくいのは難点。新大久保という設定も充分には活きていない気がするのも惜しい。

  • 満足度★★★★

    こういう語り口だからこそ描きうる凡庸さ
    気負わずに観ることができて、素敵にラフな物語の展開や踏み出しもあって、ドキッとするような色香も差し入れられて・・・。
    でも、そうして描き出されるものが、やがてフォーカスを定め、ステレオタイプにならず、しっかりと、実存感をもって、ある意味凡庸な登場人物の生きる感覚を浮かび上がらせることに惹かれる。

    こういう、どこかコミカルで、遊び心をもち、ちょっと緩めななかに、キャラクターが抱くものがぶれずにクオリティをもって、削ぎ出されていくのは、実はとてもしたたかだとおもう。

    こういう語り口でなければクリアに描きえないであろう凡庸さの肌触りを、あっと驚くリアリティとともに受け取り、素敵に得心させられてしまいました。

    ネタバレBOX

    冒頭に編まれる「有言不実行」のありようが物語の基礎になっていて、いくつかのエピソードがそことの重なりや対比となって歩むことで、終盤には描かれるキャラクターの肌触りが死んでも変わらないみたいな感じとともに、とてもビビッドに浮かび上がってきました。

    それは、多分正攻法で役者がひとりで描こうとしてもなかなか表現しえない感覚なのだとおもう・。
    さまざまな貫きを持った人物たちや主人公と同じ匂いをもつ女性を配したその先だからこそ、初めて観る側が感じうるものであった気がします。

    斬新さはなく、ちょっと古風な手作り感満載のお芝居なのですが、その世界から歩みだしてくるものが、やがて息をのむほどにしなやかな実存感として残る。

    こういう作り手の表現力は、地味ではあっても、じつはなかなかに巡り合えないものだし、貴重だと感じました。

    ちなみに初日の観劇でしたが、回を重ねるにしたがって、この凡庸さの実存感は更に際立っていくような予感もありました。

  • 満足度★★★★

    不言実行 有限不実行 花4つ星
     有言不実行を絵に描いたような主人公、俊博は現在31歳(物語開始時は、明日31歳の誕生日を迎える設定)、

    ネタバレBOX

    チェーンの中華料理店副店長で、誕生日前日、回りが羨む可愛い彼女との4年に及ぶ同棲生活に幕を下ろした、月130時間以上の残業をこなす社員である。因みに店の従業員の中で社員は店長と俊博だけ。仕事が終わった後、休憩時間中は寝て体を休めなければどうにもならない状況である。最近では時々耳が聞こえないといった症状も出ている。自分の出世だけを追い求めるマネージャーはシンドイことは一切せず、偉そうに命ずるだけ、現場に立つなどということは殆ど皆無である。無論、有給休暇など貰えるハズもない。然し、俊博は、他の業界の経験もなく転職するにも自らのつてもなければノウハウもない。忙しすぎて新たなことにチャレンジする道も探せずにきた。
     一方、彼女は幸せを求めた。そして変われない俊博に愛想を尽かし出て行った。だが、それはまだしもましだった。誕生日当日彼はトンデモナイ事件に巻き込まれることになった。
    初日なので、ネタバレは此処まで。苦労人の書いたシナリオで、キラキラした部分が削がれている点が素晴らしい。観客の反発を買わないからである。観客も皆例外なく際の人々であるから、キラキラしている人々には嫉妬を禁じ得ない。その反発を抑え込んでいるのだ。だが、侃々諤々の議論、毀誉褒貶を引き受ける覚悟がなければ更に高い評価を望むことは難しかろう。そして、このような評価を得る為には、キラキラしたシーン(本物の才能の輝きだとか、天才の閃きなど)も取り込んだ方が良いようには思う。ただ、以上の意見は更にメジャーを目指す場合のリスクも伴う意見であって今作を否定的に見ている訳ではない。地味だが、心に残る作品であることは間違いないからである。

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