満足度★★★
際なのは誰か?
中途半端で有言不実行を絵に書いたような男を添野豪が丁寧に演じているが、ドラマの中に点在する回想シーンが2010年の『夜も昼も』を想起させる。笑いもあるし、毒もあるという文月堂独特の感触の作品であるとは言える。平凡に生きているようで、実は瀬戸際にいるということがタイトルなのだろうが、そのことが分かりにくいのは難点。新大久保という設定も充分には活きていない気がするのも惜しい。
満足度★★★★
こういう語り口だからこそ描きうる凡庸さ
気負わずに観ることができて、素敵にラフな物語の展開や踏み出しもあって、ドキッとするような色香も差し入れられて・・・。
でも、そうして描き出されるものが、やがてフォーカスを定め、ステレオタイプにならず、しっかりと、実存感をもって、ある意味凡庸な登場人物の生きる感覚を浮かび上がらせることに惹かれる。
こういう、どこかコミカルで、遊び心をもち、ちょっと緩めななかに、キャラクターが抱くものがぶれずにクオリティをもって、削ぎ出されていくのは、実はとてもしたたかだとおもう。
こういう語り口でなければクリアに描きえないであろう凡庸さの肌触りを、あっと驚くリアリティとともに受け取り、素敵に得心させられてしまいました。