愛(かな)しきは 公演情報 劇団だるま座「愛(かな)しきは」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    だるま座らしい作品
     第2次大戦末期から戦後のどさくさを生きた庶民の物語。

    ネタバレBOX

    中心の錘となるのは、馬鹿一と子供たちからからかわれる画家。石と野草ばかりを描く一風変わった絵描きなので、こんな風に呼ばれているのだが、“叩けば埃が云々”が当たり前だった時代に清貧を通したアーティストとして描かれている点は興味深い。
     中心になるのは、馬鹿一に10円の家賃で間借りしている一家である。大戦で息子3人は全員応召。戦後2人は復員したが、最も頼りにしていた息子は戦死した。そんなこともあって、父は抜け殻のようになり、末弟は共産主義に走って結局豚箱入り。1人は闇屋となってカストリの製造密売やら闇物資の売買で稼いでいたが彼も警察に掴まってしまった。然し、闇屋でもやらなければ飢え死がオチであった。実際、配給制度が機能していた戦中より戦後の混乱期の方が庶民の食糧事情は悪化していたのである。長女は結婚して実家を離れていたが、貧しく親の懐に頼るばかり。親の持っている金は、ストリッパーになった妹が稼いだ金でもあった。
     一方、清貧に甘んじる馬鹿一に転機が訪れる。画壇の大御所に才能を認められ、人間を描くよう勧められたのだ。モデルになる女も出入りするようになり、終にはヌードにも挑戦するが。
     庶民と欲のない画家との日常を描く舞台は、戦中戦後の余りにも凄惨な描写は避けつつも、遺骨として持ってこられたもののいい加減さや犯罪とされた闇商いなどをしなければ生きられなかった当時の世相、敗戦によるショックで自失した人物を描き、占領軍アメリカの影響や人種問題などもやんわりと提示して入り易い作品になっている。

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    2016/09/11 12:47

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  • だるまさんへ
     自分の所にも小ぶりですが素敵な一刀彫のだるまさんが
    居て、もう45年くらいの付き合いになります。めげそうになった時、
    病に自分の体が思うようにならなくなった時、いつも励ましてくれる
    ような木彫なのですが、大っ嫌いな家康の”人生は重き荷を負いて
    云々”という言葉の真実と共に今後とも自分を支えてゆく指標の一つ
    として、そして木彫といえども存在し続けているものとして、支えになって
    くれそうです。今回の作品も、戦後、最も庶民の生活が厳しかった時代への
    作家の暖かなまなざしなのでしょう。だるま座のますますのご発展を祈って
    おります。
                                          ハンダラ 拝

    2016/09/17 01:11

    ご来場ありがとうございました!

    楽しんでいただけましたら、幸いです。
    八田さんの作品は素敵な作品です。
    まさしくやんわりといろいろなことを示して、思いを馳せさせてくれる作品と思っております。

    今後も何卒よろしくお願いいたします。

    2016/09/16 17:26

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