愛(かな)しきは 公演情報 愛(かな)しきは」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    愛(かな)しきは
    戦中戦後、世の中が変わっても変ることなく絵を描き続ける男馬鹿一とその店子。店子の一家は息子を戦争で亡くしたり、娘が外国人の男と結婚したりと時代に翻弄されて行きます。それは大変なことですが、心が騒ぐことがあっての人生じゃないかと馬鹿一も思ったのではないでしょうか。

    ネタバレBOX

    産まれて間もない(1週間くらい?)赤ちゃんを抱くシーンがありましたが、見ていてハラハラしました。ジムさんの抱き方が正解なのでは?赤ちゃんが泣いた時、銀はお母さんに赤ちゃんを渡して寝てしまいましたが、赤ちゃんを抱いてもらっている間に(客席に背を向けているのだし)お乳をだして、赤ちゃんに飲ませる方がよかったのではと思いました。
  • 満足度★★★★

    戦中、戦後の舞台セットが素晴らしかったです。
    まず舞台セットがとても凝っていて、終戦あたりの雰囲気がとても良く出ていました。古物を集めたり、作ったりで大道具、小道具さんが苦労されたんだろうなぁと思います。馬鹿一の部屋の石。最初、本物かどうかがとても気になっていて、そちらの方に気を取られてました。(本物でしょう。)
    物語はと言えば、戦前、戦中の「お国のため」「神国日本」の風潮が父親の言動に表されていて、コミカルに描かれていたのですが、やはり「哀れ」さを感じました。対して、銀役の原章子さんの演技は親を思う時代を超えた「愛」が描かれていて、思わず涙することも。素晴らしい演技でした。
    欲を言えば、娘が敵国の子をもった世間体の悪さから来る苦しみ、今までの観念を破壊する事実、それに対してどこの国の赤ちゃんにでも感じる無垢な「愛」とのギャップ。そのギャップが主人公の父親を苦しめる姿に反映されていればもっと良かったかな?と思いました。

  • 満足度★★★★

    リアル
    舞台美術は石を除いて(笑)、リアリティにあふれた生活の道具がズラッと並んで壮観だった。戦後のバイタリティあふれる、市井の人々の生活が上手く再現されていた。戦争を知らない世代にも観て欲しい。

  • 満足度★★★★

    だるま座らしい作品
     第2次大戦末期から戦後のどさくさを生きた庶民の物語。

    ネタバレBOX

    中心の錘となるのは、馬鹿一と子供たちからからかわれる画家。石と野草ばかりを描く一風変わった絵描きなので、こんな風に呼ばれているのだが、“叩けば埃が云々”が当たり前だった時代に清貧を通したアーティストとして描かれている点は興味深い。
     中心になるのは、馬鹿一に10円の家賃で間借りしている一家である。大戦で息子3人は全員応召。戦後2人は復員したが、最も頼りにしていた息子は戦死した。そんなこともあって、父は抜け殻のようになり、末弟は共産主義に走って結局豚箱入り。1人は闇屋となってカストリの製造密売やら闇物資の売買で稼いでいたが彼も警察に掴まってしまった。然し、闇屋でもやらなければ飢え死がオチであった。実際、配給制度が機能していた戦中より戦後の混乱期の方が庶民の食糧事情は悪化していたのである。長女は結婚して実家を離れていたが、貧しく親の懐に頼るばかり。親の持っている金は、ストリッパーになった妹が稼いだ金でもあった。
     一方、清貧に甘んじる馬鹿一に転機が訪れる。画壇の大御所に才能を認められ、人間を描くよう勧められたのだ。モデルになる女も出入りするようになり、終にはヌードにも挑戦するが。
     庶民と欲のない画家との日常を描く舞台は、戦中戦後の余りにも凄惨な描写は避けつつも、遺骨として持ってこられたもののいい加減さや犯罪とされた闇商いなどをしなければ生きられなかった当時の世相、敗戦によるショックで自失した人物を描き、占領軍アメリカの影響や人種問題などもやんわりと提示して入り易い作品になっている。

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