満足度★★★★★
明るさへの羨望。
『眠れない夜なんてない』の老人たちの帰れない悲壮感が2000年代的で、
『冒険王』の若者たちのどこにも行かない妙な勇壮感が1980年代的で、
なんて割り切れる問題じゃないのは分かっている。
あの若者たちが過去の人たちであるようにどうしても見えてしまう。
妙なポジティブさが安宿の中を支配しているのは、羨ましい。
羨ましいということは、今、日本にいて彼らが眩しく見えるからなのだろうか。
彼らはどう見ても怠惰で、褒められた存在なんかじゃない。
でも自分が、そこに“在る”可能性を、どうしても見出せない。
だから羨ましいのか?
日本人のバックパッカーは減っているという。
この芝居に過去を感じる一つの理由として挙げてもいいかもしれない。
それが、日本人の進化なのか退化なのか、判断には困るけど。
なんてことを考えた。
でも、明るいことは羨ましい。その気持ちに嘘はないんである。
俳優陣も充実。実際に若い人たちより随分若い印象が逞しい。