追憶のタキシーダンサー 公演情報 劇団ドガドガプラス「追憶のタキシーダンサー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    シナリオを非構造化した分、役者たちの頑張りが目立つ 花四つ星
     現在、浅草東洋館で「追憶のタキシーダンサー(二幕)」を上演中の劇団ドガドガプラスの2年間を追求したドキュメンタリーが、8月21日14時からのフジテレビ「ザ。ノンフィクション」で放映されるが、どの劇団もオリンピック開催中とあっては集客に苦労している所。ぜひ、生の舞台をご覧頂きたい。(追記2016.8.21)

    ネタバレBOX

     時は1940年10月31日の夜、ダンスホール滝壺。22時を以てダンスホールも閉められるとあって、最後の夜を、目当てのダンサーと踊ろうと男達が集まった。明11月1日からは戦時下の統制の為、都内に最後に残っていたダンスホール十軒ほどの店の灯も絶えるのである。真珠湾攻撃(1941.12.8)の1年2か月ほど前のことである。
    因みにタキシーダンサーとは、店で購入したチケット1枚につき1曲、好みのダンサーと踊れるというシステムを持つタキシーダンスホールで踊るダンサーのことだが、発祥はアメリカ。日本では大正末期に開業店が現れた。無論、踊りながら、アフターをダンサーと交渉する客も多くその辺りの事情は男女の機微として、現在迄どころか生き物としての人間生活が始まって以来今日まで延々と受け継がれたテーマである。但し、この時代の日本は戦争につぐ戦争の時代であり、この僅か5年後には都市部の大部分を焦土と化していた。一幕ラストに傷痍軍人のようないでたちで現れる科学者の予言「体が溶けてゆく。これがお前たちの未来だ!」の科白は衝撃的。
     今回は役者の頑張りがメインになった舞台なので役者陣についても少々詳しく書いておく。さて、二幕である。一幕でその半生が明らかになっていたパリがえりの画家で多くの女性と浮名を流した太田の血を分けた息子、和也と会ったその日に結婚したかつての妻の連れ子雪江の幸せも長くは続かなかった。結婚の翌年、日本は太平洋戦争に突入。山本五十六の予言通り、当初だけは勝をを収めたがガダルカナルで和也が戦死した戦闘を最後の勝利として、その後は負け続け、広島・長崎への原爆投下をはじめ、日本の大都市の殆ど総てが灰燼に帰すほどの空爆を受けた。
     若く美しい戦争未亡人であり、滝壺のNO.1 でもあった雪江に言い寄る男は多かったが、彼女は、和也の匂いのする太田と肉体関係を持つに至る。而もその太田は滝壺に居た松子に気に入られ、彼女もまた太田の家に身を寄せて家政婦として太田の面倒を見ていたのである。偶然、太田と雪江の現場を見てしまった松子は、流石に実家に戻り結婚に踏み切った。だが、雪江にとって血のつながらない父とのセックスは、和也への一途な追慕でもあった。戦争未亡人となった彼女に寂しくないかと言い寄る男たちに対し、「寂しくないわけ、ないじゃないか!」との痛切な叫びは胸を撃つ。
     座長を務める丸山 正吾(和也役)、老画家を演じる隈本 雅人の演技力は無論のことだが、雪江を演じる看板女優 ゆうき 梨菜の演技力も伸びた。また、滝壺に通う遊び人、京橋を演じた中瀬古 健の演技が光る。更にドガドガプラスは歌って踊れるを目指す劇団とあって今作ではプロダンサーも出演しているが、物理研究者を演じた佐々木 健のキレのあるダンスの素晴らしいこと。滝壺のセクシュアルダンスガールを演じた下西 春奈のダンスもグー。
     更に滝壺オーナーを演じたレイアイのしっとり落ち着いた演技、ドガドガ若手女優の可愛らしいお色気とうまくなっているダンス、体当たりの演技もグー。
     

    1

    2016/08/20 20:12

    0

    1

  •  オリンピック放映に負けないよう、2度に分けて書きました。皆さんの頑張りに対してエールを送ります。
                   ハンダラ 拝

    2016/08/21 09:10

このページのQRコードです。

拡大