満足度★★★
インドに行ってみたくなった
年間数多くの小劇場系の舞台を観に行くとなると、それなりに出費がかさむ。小劇場系劇団の財政状況を少なからず知るものにとって、無料招待券をもらうことには少なからずためらいはあるものの、その劇団を好きになって今後何度か観に行くことになるきっかけになるかもしれない可能性も秘めているわけで、一概に遠慮している場合ではない。今月はそんな気持ちから無料招待の公演に複数応募したところ当たった公演の一つが本公演である。
会場は、下北沢の本多グループの一つ、シアター711。
物語の舞台は、東京・三田にあるインドビザ申請センターのある一日。
ちょっとしたミスも許さない厳しさで有名なピザセンターにやってくるインド行き希望者の面々。度重なるミスの指摘を受け、腹を立てながらもインドに行くべく申請書類の訂正に励む人たちの、インド行きの真の理由が明らかになっていく。恋人にインドでプロポーズしようとはりきる若者相手が実は人妻であることがわかったり、左遷を承知でインドで頑張ろうとしているサラリーマンがいたり、インドに行って消息不明になった彼氏を探して何度もインドを訪れている女性がいたり、不倫報道がきっかけで仕事が不調になりインド行きをきっかけに執筆業に進出しようとしている女優がいたり・・・・。そういう人たちのインド行きの熱意と審査の厳しい係官のインドへの愛着のぶつかり合い。基本はコメディなのだろうが、時折しんみりさせられたり。75分ほどのそれほど長くない上演時間は、内容にマッチしていてちょうど良かった。あれ以上短くても長くてもダレてしまいそうな舞台を適度な感じに持続させていたのは、その上演時間の長さと脚本の面白さ。そして登場人物の多彩さだろう。
面白い劇団を知る機会を得たことに感謝したい。