BENT ベント 公演情報 パルコ・プロデュース「BENT ベント」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    苦渋の生き方と時代の運命
    以前、PARCO劇場でスズカツ版を見たが、同性愛者を巡る環境もあの当時に比べるとかなり柔和になってると思うが時代背景はかなり違う(もしかしたら近づいているのかもしれない)が、今回の方がより重苦しくシンドく、迫害の中で愛する美学と残酷さに鬼気迫るものがあった。
    照明は原田保さんか、納得の美しさ。

    ネタバレBOX

    収容後、右から左へ、左から右へと岩を運ぶ担当となったマックス。収監前の護送車で知り合ったホルストを作業場に呼び寄せ、単純作業に明け暮れる毎日。
    彼らの前にはナチスの親衛隊、後ろには電流金網が包囲されてる中、立ち止まって話すことも出来ず、また自ら死ぬことも許されず。監視の目の届かない位置から、他愛のない会話から始まった好意。
    直立不動で過ごす、つかの間の休憩からの愛情表現。未来を夢見て2人で生きる希望を持つも、そうならないのが非道な時代に生きる人々の運命というか。
    つかの間の休憩時の会話の空模様に青空が見えたかと思えば、苦痛を伴うような時には2人の心情が表れているかのように、背景画も人が叫んでいるかのような、表情を含んだ風景に見えたり。

    愛する人を目の前で見殺しにされたマックス、しかも2回も。静寂の中で、ホルストの収容所服を身にまとい、親衛隊のいる方向へ毅然とした表情で見つめる姿に、彼の決意の塊と運命がまた悲しくも思う。

    主演の2人はもちろん良かったが、ほどほどに自分の性嗜好を楽しんでいるマックスの叔父フレディやゲイクラブ歌手のグレダ、最後のナチス将校?も冷徹っぷりも印象に残った。賛美するわけではないが、確かにあの軍服姿はサディスティックで格好いい。

    人を愛する尊厳さに胸が苦しくなるような舞台だった。

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    2016/07/25 00:47

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