月の道標 公演情報 ニラカナエナジー「月の道標」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    酷さ
     1945年4月1日、既に3月26日に慶良間諸島などに上陸していた米軍が本島に上陸。

    ネタバレBOX

    首里のある北部は激戦地となったが、5月末司令部の置かれていた首里は陥落。日本軍は南部に撤退する。南部戦の悲劇は“ひめゆり”をはじめとして集団自決を迫られ、親が我が子を殺し自決する、母親が乳飲み子の鳴き声が煩いとされてわが手で乳飲み子を殺害させられる、といった余りにも酷い傷を沖縄の人々に強いた。戦闘の激しさについては、上陸以前米軍の埋め尽くした沖縄沖の海からの艦砲射撃の余りの激しさに島の形が変わったと言われていることは既に書いた。無論、未だに不発弾が回収される。何より沖縄住民の4人に1人が亡くなったとされる。このような激しい戦闘と、ヤマトンチューに近づこうと必死になって戦った「祖国」日本にも見捨てられ沖縄は今も呻いているのに、ヤマトンチューの感度は鈍い。それに引き替え、今作に登場するユタ役のおばあの品のあること。またその言説の質の高いこと。そして、学徒動員された女性徒達の個性的で、優しい強さと主人公の成長を通して現実と向き合い背負うことをキチンと訴えた作品の意味は大きい。
    更に、現実をキチンと見る目を持った軍医や加えてノブレスオブリージュを心得た少尉のキャラクターを作っていること。大方の陸軍軍人の発想だったものを揶揄する視点を忘れていないことも評価したい。真面目に丁寧に作られた作品である。そして実際に起こっていたことを蛆の話や、麻酔無しに鋸で足を切断するオペ、ナイチンゲールがクリミアで実践した頭部強打による昏倒によってオペを実践した実例なども婦長の実践指導を通して描かれ、戦争を知らない世代にその実態と精神の崩壊を齎すような傷を示している点も見逃せない。今当に第3次世界大戦前夜、心して観ておきたい作品である。一旦、戦争を始めてしまえば片が付くまで終わりは無いのだから。而も現代の戦争には核の脅威が付きまとっている。

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    2016/07/24 11:34

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