第16回公演『大人』 公演情報 劇団天然ポリエステル「第16回公演『大人』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    パワフル!
    劇団の内情を暴露する内輪話...のような気もするが、この芝居の魅力は圧倒的なパワーで観(魅)せること。劇団「寂し部」、小さな売れない貧乏小劇団であり、そこに巣食う個性豊かな人々...。舞台中央には、長テーブルと椅子3脚。そこに「書かざる者、飲むべからず!」という張り紙が...。もちろん劇中シーンを意識していることは明白である。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、どう表現するか困るような散らかり方。この劇団「寂し部」の事務所であろうことは容易に想像できるが、先に記したテーブル以外に主だった道具は、上手にソファー、下手に冷蔵庫や障子衝立がある。それ以外が小物、過去公演ポスターなどが乱雑に配置されているようだが...。実は劇中でさらにメチャクチャにするが、その意味では計算した配置であろう。

    梗概、劇団「寂し部」と劇団「ピリオド」の時代を超え、次元も異なるヒューマンドラマか。
    伝説の劇団「ピリオド」の未完の台本と、それを大事に持っている同劇団の看板女優・明里(碧さやかサン)が、劇団「寂し部」へ迷い込む。「ピリオド」では、七夕を題材にロマンチックな芝居を上演する予定であった。しかし思うように筆が進まない。そのうち劇団内での恋愛話が拗れて...。そして迷い込んだ女優・明里の正体とは...。

    典型的なドタバタコメディであるが、そこは緻密かつパワーで物語を大いに盛り上げ、自称ガラクタ集団という「寂し部」がいつの間にか「癒し部」になったようでホッコリする。書けない理屈派の「ピリオド」脚本家・雲居秋人(萬谷法英サン)と、書きたくない無頼(天才)肌の「寂し部」脚本家・柳映見(やんえみ サン)の競作場面が面白い。制作の苦労が滲み出ているが、そのマイナー思考とも思える場面を簡単に乗り越え、観ている人に元気を与える。その観(魅)せる工夫が、事務所内(パソコンの投棄、水噴射など)をメチャクチャにすることで、劇中シーンと観客の鬱憤を晴らすような...そんなシンクロを感じる。

    演劇ってなんだ、という崇高なテーマが根底にあるようだが...。
    いずれにしても役者の演技?力は観応えがあった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2016/07/05 19:35

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