コメディカルナイト 公演情報 劇団クロックガールズ「コメディカルナイト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    コメディ一夜物語
    非リアルからあぶり出される事実。敢えての非リアリティ...そんなことはあり得ないことは承知の上での設定。それでもどこかで見聞きしたようなことを思い出す。
    例えば救急車に乗り込んでも直ぐに病院へ搬送できない。受け入れ病院を探すのである。付き添いで救急車に乗った時、イラつきを覚えたことを思い出す。
    (上演時間約2時間)

    ネタバレBOX

    梗概...救急医療の緊迫したシーン、実は妄想の世界。この公演の登場人物を全員参加させてのお披露目ダンスである。一転現実に戻り、研修医がベテラン看護師らにいじられるという笑い。この冒頭の緩急の演出の掴みは面白い。
    経営危機に瀕した救急指定病院であるが、 そこには、やる気も知識も腕もない3代目院長と同じようなコメディカルスタッフ(医療従事者)がいる。そんな病院に夜間救急外来があり、重大事件が起きる。

    救急患者の受け入れ拒否、研修医の医学書が手放せない机上学問からの脱却、新人看護師の基本処置(注射行為など)の未熟さ、部外者の出入り自由なセキュリティの甘さ...などの医療現場の杜撰さ。有名芸能人の妊娠とそのスクープを狙う女性記者の行動など、もしかしたらあり得るかもという不思議感覚の展開。一夜の出来事であるから事柄の関連性はないが、病院というシチュエーションの中で隣り合っている可笑しさ。そして外部の事件との関係を想起させる巧みさ。いずれにしても徹底したナンセンスが面白い。
    ラストは、なぜ救急医療病院なのに受け入れせず、次の病院へ誘導するのか、その理由が明らかになる。疲弊しつつも悪戦苦闘する医療従事者たちの姿をコミカルに描き、医療現場の闇にチクリと針を刺すような。

    医療は人類の歴史と共にある。その医療知識と技術の発展・発達は、歴史においてその功罪(プラスマイナス)の面があった。
    標語ではないが、安心・健全という医療技術と施設設備があ(れば)という未来。そしてもし、マゼランやコロンブスがビタミンCを知ってい(たら)という過去を思うと、間違いなく世界地図が今と違うものになっていたかもしれない。この公演こそ“たら れば”の仮想世界である。それだけ医療(現場)は重要であるが、その実態はどうなのか?そんなことを笑いに包みながら問題提起する。
    医療現場という切り口を通して、医療とそれに携わるコメディカルスタッフ、そして一番大切な患者の現在と未来を思って楽しんだ。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/06/11 07:34

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