奇妙なり――岡本一平とかの子の数奇な航海ー 公演情報 オフィスワンダーランド・(一社)演劇集団ワンダーランド「奇妙なり――岡本一平とかの子の数奇な航海ー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    かの子
    今生きていても素敵な女性だろう。

    ネタバレBOX

     瀬戸内寂聴の「かの子繚乱」によっても、また岡本 太郎の母としても、今では父、一平より名を知られるかの子であるが、彼女が夫公認の愛人を持ち、而も息子の太郎がそれを気に病んでぐれることもなく生活し得たということは、近年で言えば赤塚 不二夫と初婚夫人、再婚夫人同士がとても仲の良い間柄であり、娘さんも道を逸れなかったことに近いかも知れない。が、時代が時代であり、尚且つ今作で描かれるのは当時珍しかった外遊に、一平は、妻のみならず、妻の愛人二人と太郎迄一緒に船旅をさせたのであった。神戸からマルセイユ迄である。船の名は箱根丸、ロンドンで開かれた海軍軍縮会議取材旅行が一平のミッションであった。今作ではこの長い船旅の道程を描いている。無論、この間に何故、一平とかな子がこのような関係を持つにいたったか、現在の東京芸術大学の前身であった東京美術学校に父同様入学していた太郎は18歳を機に本場パリで絵の武者修行に入る為、父の取材に同行。母、母の愛人二人も同様であった。だが、源 五郎が指摘するように一平には、1929年当時の、遅れた日本と言う村社会にバイアスを排した人間関係構築をプロデュースする意図があったのかも知れない。まあ、役人なんぞの硬い頭より、日本の民衆は開けた性意識を持ってはいたハズだが。それが体制を前にすると萎縮するのは未だに変わらない日本人のダブルスタンダードである。国家を代表しこの会議に出席する為に乗り合わせた海軍少将と、その二回りも年下の妻に絡むエピソードや、アルゼンチン・タンゴを取り入れた楽しめる舞台で、かの子役がキュートである。

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    2016/05/30 21:29

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