ビッグマウス症候群 公演情報 劇団フルタ丸「ビッグマウス症候群」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    選挙監視団 花5つ星
    が必要なのは、日本の選挙。自民党が大勝した選挙でも、多くの疑惑がささやかれてきたわけだし、この「国」が民主主義国家の一員であることは頗る疑わしい事実ではないか? その証拠に国民の政治的無知と肝心な情報の意図的廃棄と隠蔽、意図的無記述など、基本的に事実を捻じ曲げるためのノウハウの信じられないような行使がある。

    ネタバレBOX

     地方に左遷されたSE、刃根は受診させられた心療内科の医師、三浦から“ビッグマウス症候群”と診断され薬を処方されるが、その薬を飲むことを拒否する。この街には、彼と同じようにビッグマウス症候群と診断された患者が何人かおり、彼らは、食間になると必ず、合図の出る機器のアラームに従ってその錠剤を飲むという習慣性を既に身につけていた。何れの患者も弁が立ち目立ちたがり屋で他の人々に影響力を行使し得るポテンシャルを具えていることが、共通項であった。三浦の父は、この街の町長を6期務めた有力者。彼女の処方箋に示されていた薬、レミングスは他人に逆らってでも何かを為そうというインセンティブを抑える効果を持った。即ち三浦の父の町長6期連続当選には、対抗馬となり得る人々のインセンティブをこのエリアの病院の副委員長が薬で抑えるという重大疑惑があったのだ。
     刃根は、自らのSEとしての力、即ち調整力を使って巻田を対抗馬、選挙事務帳、鶯嬢、選挙カー運転手などを手配。仲間をそれぞれのポジションで活躍させるための策を練り実行してゆく。舞台上手奥には、様々なサイズや色の木片をパッチワークのように張り合わせて作られた壁があり、丁度、病院の入り口に当たる所から、患者達が心療内科に掛かる人々であることへの世間のバイアスとそのバイアスを気にする患者たちの心的構造の複雑さが、象徴的に表されていると見ることができ、本当はどろどろしてマニエリスムの描く螺旋状の境界のハッキリしない実態を持つにも関わらず敢えて四角を基本としている所にアイロニーとバイアスへの笑いが込められているように思う。風だけが有名な風見町の産業は玩具の風車と風鈴。然し産業として成り立たない風車が、壁の随所に埋め込んであるのは、6期も無風状態で町長が決まって来たこの街の選挙民の精神的倦怠・怠惰そして奴隷状態を表していると同時に、風を吹かせば回るこの玩具の在り様をアイロニカルに示して効果的である。
     今回が劇団員6人だけで上演する2回目の公演だが、シナリオの質の高さ、いつも通り実にバランスのとれた演出に、息の合った役者陣の演技で堪能させて頂いた。照明、音響効果も舞台を盛り上げていたことは言うまでもないし、中央を台形に切り取った舞台美術も効果的に使われている。

    0

    2016/05/30 16:24

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大