満足度★★★★★
め組…あしたのために(その1) アッパーカットをくらったようだ
絵(画)を鑑賞する時、その美術館そのものを見るように、本公演も原作(画)を描く劇場・舞台という環境も気になる。そして場内に入った途端、舞台美術の意味するところが直ぐ分かる。四角いコンクリート状、その無駄を一切省いたシンプルな造作、この作りしかないと思えるもの。そして明転して現れたシーン...そこに立つ主人公にしてライバルである矢吹ジョー(新宮乙矢サン)、力石徹(藤原習作サン)の削ぎ落とし鍛え上げられた肉体が、この舞台に映える。
1960年代末から1970年代、スポーツマンガの金字塔で、戦後日本マンガの代表的な一作と言われている。それは、「マンガを卒業できない大人たち」を魅了し、多くの社会的影響も与えた。
その舞台化は、登場人物の外見を含めた人物造形が見事に出来上がっており、今の日本への問いかけが...。