満足度★★★★★
今回も大いに泣いた。
昼と夜に分かれた世界。
新たに発生した夜型の人類は、老いがなく理論的で冷静だが、太陽光を受けると死んでしまう。
日の光の下で生きられる、従来の昼型の人類は、感情的で野蛮として差別される。
やがて、迫害を受けながら減少していく。
葛藤の少ない夜型からは、芸術が生まれない。
それぞれが時に互いに相手を羨望し、時に攻撃する。
左脳と右脳、理系と文系、理論的と感情的、能動的と受動的、発展と衰退・・・
双方の対比から生まれる様々な様相が、色々なことを考えさせられる。
憧憬、侮蔑、友情、裏切り、同情・・・
SF的な設定の中、登場人物の死などではない、この物語ならではの展開から、泣けるラストが素晴らしい。
不思議と嫌味がなくてリリカルでチャーミングな伊勢佳世さんが実に可愛らしい。
客演の中村まことさんの役が、粗野だけど素朴で旧人類の良さを代表していて、
安井順平さんは、夜型に転向しつつも、失ったものの大きさに絶望し、切ない。
特に理論的な医師であったはずなのに、説明せずに崩れてしまう様におおいに泣かされてしまった。
蛇足かもしれませんが、初演時には、円形劇場ならではの、客席間近で見る迫力が凄かった。
すぐ近くだったので、冒頭の場面では、えらく驚いたし、緊張したように思う。