満足度★★★★★
劇小劇場に満ちる不穏な効果音
で始まるこの劇、再再演だったんですね。バカバカ、二回も見逃すなんて、間抜けすぎる私・・・・。で、まず、音響に驚きました。この劇場、音響のシステムを替えたのか、あるいは元の音源が余程良いのか、効果音もアコースティックな音楽も素晴らしく、すべての音が胸に響く。この哀しく苦しいお話に、せめて音楽だけでも美しく響いて欲しいという願いが込められているかのようだ。
お話は故郷を失った人と、確固たる文化共同体の中にある人々との対比が
鮮明で、私たち日本人がこの時代になってもどれほど自分が属している
社会に守られ、その中で包まれて生きているかを思い知らされる。被災者が無くしたものの大きさ、大切さをこれほど分かり易く、直接話法で語りかけてくる演劇も少ないと思う。そして彼らのこれからの生活基盤の不安定さ、無分別な情報の錯綜による足場の頼りなさを訴える演劇を他に知りません。ゲネプロ観劇。