赤い竜と土の旅人 公演情報 舞台芸術集団 地下空港「赤い竜と土の旅人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    MVPは
    個人的には商人の妻ガレ・タンレ役の鎹さやかさんだった。
    再演もあるかもしれないので、以下はネタバレに下記致します。

    ネタバレBOX

    主要な登場人物の中で、物語の最初と最後で彼女が最も考え方も感じ方も
    姿勢も変わった人物であったように思う。
    その移ろっていく心情変化を見事に演じていたように感じた。
    特に、醜聞を聞いた帰宅後の演技は、初日、3日目、楽日と3回観劇したが、
    3回ともに胸に迫るものがあった。特に楽日の演技は全2回とは違い、
    特に胸に迫る感情の爆発があった。とても素晴らしいものを拝見できました。

    また、直前に代役となった、商人ヤビン・タンレ役の奥田努さんも大変素晴らしかった。ほんとに直前での登板だったと聞いていましたが、初日でも、
    全く遜色がなかった。言われないと誰が代役だったのかわからないくらい
    でした。多少のセリフトチリはご愛敬でしょう。楽日に台本通り「蒸気機関」
    と聞けて、台本を頂いた自分としては、余計に楽しめました。

    舞台装置の黒い椅子に関して。
    私見ですが、舞台背景が大黒幕のように真っ黒であったため、
    黒い椅子は「目を凝らさないと見えない非日常のモノ、人工的なモノ」
    というとらえ方を最終的にしました。
    その対比として、「日常の風景や自然」を白い椅子で表現されていたと
    思っています。

    穴があいたモノが見つかるたびに、黒い椅子に砂が落ちていく、音としての
    違和感は感じているが、正体を見破れない。忍び寄ってくるもの。
    最後に旅人が舞台の前方に黒い椅子をもってきますが、これは、
    「ほら、こんなになるまで気づかなかっただろう。目の前の日常に目を奪わ
    れて、本質を見ようとしない。目の前にだされるまで気づかない。
    日常のみにとらわれず、物事の本質に目を凝らせ、違和感を感じたら
    目を凝らせ」という観客への問いかけがあの最後の黒い椅子だったのだと
    私は感じています。
    問いかけはシンプルではありますが、人間が生活していく中で、
    普遍的な命題だと再認識した舞台でした。

    最後に、鎹さやかさん、奥田努さん、大塚由祈子さん、野々目良子さん、檀上太郎さん、綾坂なんりさんの他の舞台が是非観劇したいと感じました。

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    2016/03/17 20:33

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