引退屋リリー 公演情報 RUP「引退屋リリー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    つかこうへいの未完の戯曲【引退屋リリー】を観劇。

    今作は世間で言われていたあの幻の美空ひばりの物語だ。

    犬島で父を殺したと疑われたリリーは、二階堂刑事に捕まる。
    犬島に渡った者は決して生きて帰って来れない?という噂のある恐ろしい島である。
    だが、何故リリーだけが帰ってこれたのか?
    刑事の疑問と共に、そのリリーの美貌と犬島の謎を下に、映画を撮ろうと画策する落ちぶれた映画監督の村川。
    そして刑事がリリーの過去を探るうちに、彼女は美空ひばりとマッカーサー元帥の落し後だという事が判明する。
    そしてマッカーサーが日本を離れる際に放った
    「I shall return.」と謎の暗号。
    その意味を紐解いていくうちに、とんでもない秘密が露わにされていくのである.....。

    今作はつかこうへいがリリー役をオディ―ションしたのだが、演じられる女優が居ない為に中止になった公演だ。
    本来の戯曲はもう少し美空ひばりが全面に出ていたらしい?と噂があるのだが、その辺りは分からずじまいで、残された資料を下に改定をしているようだ。
    今作もつかこうへいらしい二重構造で話は進んでいく。
    二階堂刑事が事件の解決とリリーの過去を探っていく謎解きと、それを同時進行で映画化していく村川監督。
    その二つの話が同時に進んでいくに、戦後の日本と被爆国としての日本について問題定義をしていくのである。
    あまりにも荒唐無稽すぎる話も、物語の面白さと展開のスピード、そして連射攻撃の俳優の台詞に圧倒されまくりである。
    つかこうへいの弟子がやっていようが、やはり面白さとそれに込められる重いメッセージは余韻を引くのである。
    今作は決してつかこうへいには及ばないかもしれないが、これほどまでの二重構造の構成で、メッセージ性の強い面白い物語を書けるのは今や野田秀樹ぐらいしかいないのでは?と思えてしまう。役者に物足りなさを感じるのは致し方ないが、馬場徹、山崎銀之丞、吉田智則のお陰で、つかこうへいらしは保たれていたようだ。

    お勧めである。

    0

    2016/02/21 14:58

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大