満足度★★★★
ナイトクラブでマクベス
ピアノ、フルート、パーカッションの楽隊が下手に控え、「マクベス」なのにどちらかと言うと軽快な音楽。初演で林光は作曲に苦労し、歌稽古は大変だったという(パンフより)。今回はリベンジ、とも。悲劇か喜劇か、難しいバランスの戯曲だった。酔った男が迷い込んだクラブでマクベスが上演される。観客は一人。いつしか男はマクベスになっていて、最後に印象的なオチがあるが、この二つを繋ぐ途中経過をどう描くか。戯曲としてはうまく書けたのか。酔った中年男がマクベスに重なって行く必然性に難があっては問題だが、観客の想像力が埋めるにしても、一方で厳粛に?進行して行く事態(マクベスのドラマ)をないがしろにも出来ない。男のドラマがマクベスに合流するお膳立てがしっかりなされていないので、マクベスのドラマに観客は没入しつつも男が出て来ると違和感を生じてしまう。そうした不調和も「不思議の世界の出来事」として軽快な音楽でまとめようとするが、そうするとマクベスのドラマ世界と不協和をきたしてしまう・・ そんな事で「苦労」があったのかと想像された。
役者はうまいし飽きない演出も施されていたが、スッキリしなさも。難しい挑戦をしたものだ、という感想。