満足度★★★★★
痴的? いや 知的!
8本の短編を連ねた90分程の短編集。タイトルつけ方からして中々捻りが効いている。無論、病ダレを想像する人が多かろうとの推理の上に成り立っているタイトルなのであるが、洒脱でイマジネイションに富んだ作家は、その持ち味を活かし各エピソードを実に有機的且つ批判的、そしてユーモラスに描き上げている。役者陣の演技も制作の人々の観客対応も実によい。無論、作品内容も知的で社会的、ちゃんと揶揄や毒も盛り込んである。いくらでも深読みできる内容なだけに、本質が捉えられていなければ作品がぶれてしまうが、今作に関わっている演劇人にその心配は無さそうだ。面白く、鋭く、同時に適確な距離を描かれる対象に対して持った作品である。