満足度★★★★
一人芝居である事を忘れる程に
角度を変えて2度観劇。夢を語る恋人の声に聞き入る鶴子の表情から、彼女が何を考えているのかが伝わってきた時、ただ胸が苦しくなりました。どうしてそんな方法しか選べなかったのかと。
小沢さんの所作は、自動再生される音声との会話のやり取りだけでなく、まな板に包丁を下ろすタイミングの一つ一つまで完璧に効果音と一致させる細かさ。
そして音声相手の会話から小沢さんの一人二役に切り替わった瞬間にも、その男女の演じ分けの巧みさに息を飲み、それが一人芝居である事を忘れる程でした。
終演時には汗やら何やらで顔中びっしょりの小沢さん。
「鶴の恩返し」という古めかしい題材に新たな命が吹き込まれるのを目の当たりにした55分でした。