満足度★★★★★
言葉の力
言葉の力を考え、そして信じようと思う。とみやまあゆみさん演じる紅子が言う「教育を一生の仕事にしようと…」という言葉を、お守りとして心に持ち続けようと思う。出てくる全員が正直でズケズケものを言う。現代人に有りがちな『これを言ったら嫌われるかな…喧嘩になるかなぁ」という考え方は無い。重要なのは、言える強さではなく、批判や口撃に晒されても、それを受け止めることができる強さを持っているということ。そして考えを述べる。大きな声は素晴らしい。力がある。酒巻誉洋さんの声に惚れ惚れする。ただ時折社会では大きな声は凶器となる。力強い声が周囲の人間の思考力を奪う。その声に口をつぐむことが黙認を意味し、大切なものを見失わせる。作家が、俳優が、まっすぐに突き付けてくる。さぁ、どうする?圧倒的な熱量を持つ作品だった。大正という時代のパワーが漲っていた。その突き進む力強さを、変貌し続けるJAZZのBGMが見事に融合し、転換の度に高みへと引き上げる。言葉の力を証明するような作品だが、眼差しや光や音楽といったものが生み出す力や価値も明らかにした。