満足度★★★★
迂遠の虜
ここにいない緑子と接点のあった二人の男女と兄による会話劇。ただし読み解くのは至難だ。目の前で展開する言葉のやりとりと行為は、しかし不思議と何らかの背景に裏付けられているように見える。
終盤、男の不可解な言動が始まり、女はそれに対して奇妙な対応をする。男の不可解さがポジで女の奇妙さがネガなのか、その逆なのか・・ 女のそれだろうと類推する。やはり女性目線で書かれた芝居であり、「男」は現象として現前し、女がどうふるまったか、が焦点化されているのだ。
簡素だが一定の具体性を持たせた装置と、十全な説明未満にとどめた台詞、注意していないと意識されないが場の空気を支える音響、全体にストイックな作りは好みである。
今回「素人」「プロ」について意識したという主宰の言であるが、素人性すなわちありのままの自分自身(の心?)だとすれば、今後の発展は作者の心の探求次第という事になるのだろうか・・。
今回再々演という事で、初演から関わる三名によるトークは興味深かった。色々なことを考え、独自な製作を行う西尾氏主宰の鳥公園の「発展」の形は予測しようもないが、ともあれ「発展」されんことを。