満足度★★★★
深夜徘徊の勧め
作・演出の山本タカが、公演パンフレットの中で「深夜徘徊の勧め」として、丑三つ時に家を出て自分の住んでいる町を想像を膨らませながら歩くことを勧めている。本作はこれをモチーフにして、回想列車という自らの過去をめぐる旅を描いている。
当然、思い出したくない過去もある。それを真正面から突きつけられるのはしんどいなあ、と思う。人間、都合の悪いことは忘れてしまうようにできているのだ。個人的にはあまり乗りたくない列車だな(笑)
新宿三丁目・スペース雑遊の小さな場所で、舞台装置はいすが2つあるだけ。シンプルこの上ない舞台だから、問われるのは役者の演技力だ。主役を演じた杉浦一輝は鴻上尚史の「虚構の劇団」から参加。そのほかの役者も、ごまかしのきかない状況の中でレベルの高さを示している。