満足度★★★
お芝居。
初・ペテカンはあうるすぽっとで。半コメディ、家族モノのお涙、「笑いで涙を吹き飛ばす」的構図に涙、伏線と伏線解消も幾つか。最後は意表をつく締めくくりで、この部分には(音楽好きの私としては)納得。といったお芝居。
役者力で持った舞台だと感じた。
放置時間が長すぎてダレをもたらす伏線が二点あった(もっともその一つは核心に触れるのでそうするしか無かったのかも知れないが、もっと仄めかしがあっても罰は当らないと思った。/もう一つは、「その音」が芝居上のものと気づかず、暫く注意力が散漫になった)。
桑原裕子のうまさを「無頼茫々」に続き堪能(系統の似た演技だったが)。ここまでやってるので、もう一ひねり「落ち」があると美味しいかったな・・と。
さてセミパブリック空間に人物を存在させる必然性につき、書き手の苦労を偲ぶばかりだが、あまりにのんびりしすぎだ。「母」の容態は気にならないのか、誰も電話で確認しようとしないのはなぜ・・に対する「謎解き」は残念ながらなく、放置されたままになった(する以外ないと言えばないが)。
ドラマはそれでも成立すると言えば成立するが、伝えたいはずの「思い」(主に兄弟たち)が、行間に込められるような「必然性」があれば、必然たらしめる演技は適切な「謎かけ」として機能し、「謎解き」において効果を増し、その事によって空間の密度も増したのではないか。 そんな感想を持った。