デンキ島~松田リカ篇~ 公演情報 劇弾In-no-cence「デンキ島~松田リカ篇~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    これはスゴイ!(@@!)
    旗揚げ公演第2公演。旗揚げ公演って聞くと、とにかく観てみたい気持ちになるっていうのは、歴史のアル劇団よりもまだまだ原石でその原石がこれから先、どのような形で観客や周りの人達によって光って行くか・・。
    いわば未知数の芸術を見出す喜び、みたいな感覚だったのだけれど・・・。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    この劇団は未知数どころか完全な姿で出来上がっていました。いあいあ圧倒されます。とにかく素晴らしいに尽きる。。聞くと、作家は元々、30年ほど映画の監督をしているというお方。どうりで・・・舞台は映画を観ているように角度、演出、人の配置、舞台のセット、音楽など、完璧です。そうしてこの物語自体がひじょうに良く練りこんで作ってあり、松田リカの友人達や家族、その家族によってリカの運命も悪い方向に転がりながらも、リカ自身が家族を捨てられない葛藤や悩みでもがき苦しみ、そんなリカを友人達が支えるという愛と希望に満ちた作品でした。つたないワタクシの文章でレビューを書いちゃったら、物語の崇高な部分が穢れてしまいやしないか・・?と思うほどの作品でした。それからキャストが素晴らしいです。特に男女とも美形を起用しているわけではないです。自然溢れるデンキ島という場所柄、本当にこんな人達が住んでいるんだろうな・・。と思わせるキャストです。島独特の方言、飾り気のない友人達、ヤンキー崩れの役どころ、それらが加味して物語は完璧に出来上がるのです。反転反転を繰り返すストーリーの展開なので、簡単にかいつまんでのレビューです。

    デンキ島で暮らす松田リカの母親は飲んだくれで博打好きの亭主に愛想をつかして出て行ってしまった。リカと兄は、親父は反省したから博打はもう辞めたと思っていた矢先、ヤクザが莫大な借金の借用書を持って松田家に現れる。またもや博打で作った借金だったのだ。ヤクザは「借金が返せないなら娘の体で返してもらう」と脅し、リカはそんな親父に愛想がつき家出しようとするが、兄から「辞めろち、家族だが!お前は家族を捨てるちか!」と詰られ、考えを変えて留まる。そういう兄は父親の同級生という母親のような年の女と付き合っている。

    一方、親友のスミエとまこはリカがそんな状況になる前から卒業したら3人で東京に行こうとお互いの夢を語りながら約束していたので、スミエは最近のリカの行動を心配し借金の返済に苦しむリカにお金を渡しながら、支えていた。苦しい生活の中からリカは東京に行くための貯金をしていたが、兄のノブヒコはヤクザにコンバインを持っていくと、脅されリカの貯金に手をつけ借金の利子にあててしまう。リカは泣きながら抗議し、いよいよ本当に「家を出て行くが!東京に行くが。」と宣言するが父親は反対し「親を捨てるちか。寂しかが。」とリカに這いつくばりながら止める。リカはそれでも「辞めろち。止める理由があるがか?なかろうち。」と出る覚悟を決めていたが、ここでも情に負けて踏みとどまる。いよいよリカは決心し、ヤクザの手下となって経理を担当して働きながら借金の返済をする。

    そんななか、すみえとまこの東京への旅立ちの日。約束の時間になっても現れないリカを迎えに行ったすみえは車に跳ねられて死んでしまう。リカはヤクザの手伝いをしながら段々深みに入っていくが、すみえが居なくなった今、今度はヤンキーだったエリとケンジがリカを支えるようになる。リカはケンジと生活するようになり、エリはそんなリカをみて「本当はケンジをそれ程好きでもないのは解ってるち。人に逃げ込むのはやめろち。他人をつくづく不幸にするんち・・。スミエが泣いとる。」とリカの間違った選択を修正しようとする。かたやケンジもガンを所持していたリカに捨てるように説得するが、リカは「ケンジには関係ないち。」と言った一言に傷つき、「関係ないってなかね?この野菜は半分は俺も食うけど半分はお前も食うが。この果物だって半分は俺が食うけど半分はお前のものだが。二人して飯喰ったり、布団に入ったり、一緒に暮らしてるのに関係ないってなんね?俺の事、好きでもないのは解ってるち。それでもいいと思ってたが。だけど、そんなことしているうちに二人してダメになっていくが。」といってリカの心の負担にならないようにと、出て行く。

    やがてリカはヤクザたちから離れ東京に行こうと決心して親父と兄に別れを告げるがこの部分のシーンが泣けます。やっと旅立ちを決心したリカはスミエの墓参りにやって来ます。ここでの回想シーン・・・・スミエが生きてた頃の情景が甦ってきます。スミエの墓の前で「この島をでるち。東京に行ってやりたいことをゆっくり見つけていくち・・。」墓参りのシーンは冒頭にもあり、ここで伏線が繋がる仕組みになっていました。
    これ程までに人間の情とか、どこか欠けた人間の表現力に長けた本に出会えた事はラッキーでした。松田ユウゾウ役の花ヶ前浩一は本当に見事です。ダメ親父役は彼の右に出る役者はいないのじゃないか、と感じるほど。その外、全てのキャストが素晴らしい演技でした。宝石を拾った気分にさせてくれる劇団でした。デンキ島のその後もあるようで、これは是非、観に行かなくちゃ!(^0^)

    2

    2008/10/15 19:56

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  • おーじ>
    でしょう?ワタクシもそう感じたし、劇団だって知らなかった。やっぱ、タイトルの付け方って重要だよね。
    で、観てみるとこの「デンキ島」というタイトルはあまり意味がないように思えるのよ。「デンキ島」でなくても「鬼が島」でも良かったんじゃないかって。

    そのちっさな島の人の良い住人が東京から来たヤクザのカモになっていくさまや家族、知り合いを通じての心情を描いた作品だったのだけれど、寅さんやハマちゃんなんて問題じゃあないです。もっと深く人間を掘り下げて細かい描写まで書いてます。
    ただ、このシリーズはまだ続くようだから、この「デンキ島」というタイトルが後になって生きる可能性はありますね。

    んー。本当に絶賛でしたよ。得した気分!(^0^)
    主役の松田リカの最初は天真爛漫で正義感が強かった女の子が親父の借金の場面あたりからヤクザの手下になって働くようになったまでの心の動き、表情に暗い影が出てきてだんだんと自分の殻に閉じこもっていくさまや、それでも健気に頑張ろうという気質を上手く表現していて、尚且つ、気負いのない芝居でした。

    とにかく、素晴らしいです。

    ああ、こんなヤンキー、おるな~。とか、島の人たちって都会と違って時間がゆったり進んでいるだろうから、住んでる人たちもこんな感じなんだろうな~。と島の情景と住人がすんなり想像できて、全く違和感がないです。

    本当に観て良かった。次回が楽しみですわ!(^0^)
    出来る事なら、1話も観たい・・。

    2008/10/16 10:28

    正直に申し上げますと、みささまの「観たい」を読んだ時もそんなに興味を惹かれるタイトルではなかったのですが・・。

    おぉ!、素晴らしい作品だったようではないですか・・。
    最高級の賛美に溢れていますし、余程素晴らしかったようですね・・。

    なんか、登場人物にヤクザが出てくる作品と言うと、どうしても刹那感や緊迫感が漂いますね・・。
    なんかギリギリのところで勝負するというか、そういう雰囲気がありますね・・。

    宝石を拾った気分と言うのは、満足感がよく出ている表現ですね・・。
    素晴らしい劇団を発見するというのは、確かにそういう気持ちにさせてくれるかも知れませんね・・。

    また新しい宝石を発掘できて良かったですね・・。

    2008/10/16 01:34

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