満足度★★★★
縁起もの?
ある意味、脇能のような作品である。三島 由紀夫ですら近代劇化しえずとした寺社の縁起物として観ることも可能な作品だからである。三島は近代能楽集を書くにあたって数百ある能の集大成といえる謡曲全集を渉猟している。うち当初近代化に適すると選んだのは僅か五編。のち源氏供養を加えれば四編、通常通り加えなければ三編の都合八編のみである。かように現代化することに難しさがあったり、敢えて現代化する意味を認めることができなかったり、或いは、謡や舞が主で、翻案の必要自体が無かったりと、割愛の理由は、様々であるものの、合理的な理由からである。
だが、今作が、能を意識して作られていなければ、以上述べたことは、取り敢えず忘れて頂こう。興味のある向きは自分で調べるがよろしい。その程度の努力は、当然である。(追記後送)