伝奇浪漫「芳一(ほういち)」 公演情報 劇団め組「伝奇浪漫「芳一(ほういち)」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    素晴らしかった!
    自分が観た「劇団め組」公演では一番好きかもしれない。脚本、演出、演技、照明・音響効果等、全てにおいて堪能した。舞台の雰囲気を「妖幻」と造語するが、観(魅)せ方が自然体で本当に楽しめた。
    特に、新宮乙矢さん の演技は悲哀・情念・怨念など時代を超えた思いが…迫力があった。

    少し気になったところ…。
    初日のせいか、殺陣シーンが粗いように感じたので丁寧に演じてほしい。
    また、冒頭の事件(乱)は、歴史に詳しければ理解しやすいが…。少し割愛し過ぎたかもしれない。

    些細な難点はあるが、大きな見方(娯楽芝居という観点)をすれば秀作だと思う。

    ネタバレBOX

    梗概は、説明を一部引用…「保元の乱で敗れた崇徳院が讃岐に流刑され、その怨念が700年の時を経て、幕末の京に現れる。長きに渡り、武家政権の実効支配のもと、その権威を封印されてきた朝廷が復権を目論み、勤王の志士達との連携を開始しようとしていた。彼らが目指すは倒幕。
    そのころ、京の一条戻り橋に一人の法師が姿を現した。名は芳一。何処から来て何処へ行くのか知る者はない。芳一は、式神が潜むという一条戻り橋で不穏の気配を嗅ぎ取る。式神を使役出来るのは、安倍晴明の流れをくむ陰陽師土御門家。血の抗争が激しさを増す京で、芳一は、朝廷の野望と、その歴史に隠された怨念の闇に足を踏み入れようとしていた」ということ。

    この舞台の良かったところは、もちろん演劇要素が素晴らしいことであるが、人間の業という、本人の意思をも飲み込むような不思議な力。その如何ともしがたい悲しさのようなものが滲み出ている味わいである。観ている者が思わず納得してしまうような内なる魂...それが怨霊へ変化しようとも、打ち消したくない気持にさせる。朽ちた姿であるが、何故か美しいのである(「徳」の字を諡号することで鎮魂された)。

    さて、舞台セットは中央が宮殿内、場面によっては公家の門前を作る。基本は上手側だけ見たら流水文様のようで、その円形真ん中を刳り貫いた造作である。客席側の上手・下手には波涛文様の高衝立が各一対。そして、先に記した一条戻り橋が下手に架かる。
    このシンプルなセットを照明が見事に映えさせた。基本的な射光もシンプルで、その衣装...例えば束帯や十二単をイメージさせる華やかさ、それが彩りとして照明効果を際立たせた。そして見せ場のスポットなどメリハリが印象に残る。そして、ラストの崇徳院の成仏というか昇華というか、その定法に従った演出は見事で、大きな余韻を残してくれた。
    本当に娯楽芝居の醍醐味を堪能させてもらった。

    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2015/08/01 22:42

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大