猫と洞窟と夏についての試論 公演情報 feblaboプロデュース「猫と洞窟と夏についての試論」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    10代の事情
    十七戦地で柳井氏が見せるミステリーの重厚さが“大人の事情”から発するならば
    10代には“10代の事情”が存在して、人生を左右するほどの重みを持っているのだ。
    彼らの若さゆえの行動が連鎖するところは説得力があるが
    主軸となるキャラの設定や演出等に、若干の疑問も。

    ネタバレBOX

    小さな会議室に長テーブルが並び、丸椅子が置かれている。
    下手は会議室の外、廊下へとつながるスペース。

    歌舞伎町のビルの一室に集まった7人の男女は、皆同じ手紙に呼ばれて来た。
    彼らは「高校生科学技術コンクール」出場常連校だった
    大江学院高校科学部の元メンバーで
    5年前、全国大会を目前にある不祥事から出場資格をはく奪され、
    関係者は重い処分を受けた。
    メンバーのその後にも大きな影響を与えたこの出来事が、
    1通の手紙によってもう一度検証されようとしている。
    手紙の差出人は誰なのか、そして不祥事は本当にあったのか…?

    当時1年生だったメンバーが議事進行役、それを補佐するのは
    5年前に唯一学校に対して好意的な記事を書いたフリーライターの男である。
    事実を検証し直していくうちに少しずつ嘘が露見していく様が面白い。
    10代の、彼らなりに切羽詰まった世界がリアルに描かれていて、
    嘘をつく事情に説得力がある。

    ただ、唯一大人として参加しているフリーライター(池田智哉)が
    中盤やり込められてオタオタするところは少しキャラに違和感を覚えた。
    彼もまた忸怩たる思いで参加している不完全な人間だとしても
    だからこそ真摯に、大人ならではのアプローチをしてほしかった。
    牽引する立場の人間は魅力的な方が観ている方は素直について行ける。

    手紙と、それに同封されたという写真を
    客席のパンフの中に入れた演出が素晴らしい。
    あれで共有する情報が一気に増え、一緒に謎解きをする面白さにつながった。

    あのスペースをほぼ半分に区切って会議室を小さくしたのはなぜだろう?
    もう少し広い空間にしたら、進行役が客席に背を向けなくても良いだろうし、
    テーブルの間を移動するのもスムーズになったかもしれないと思う。
    空間と配置に工夫の余地があるような気がした。

    カッとなりやすい短絡的なパン屋を演じた前田ちまきさん、
    エリートコースを歩む多田を演じた室田渓人さん、
    岡山の蓮農家の男を演じた三宅勝さんが印象に残った。


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    2015/07/24 05:41

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