変身 公演情報 ttu【2017年5月末解散】「変身」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    視点の違いを理解しないと…
    本公演「変身」と言うよりザムザ家は、難しいと思う。そこは、当日パンフの演出・山田真美 女史の説明を読んでいただこう。

    さて芝居は公演中のため、内容の感想は「ネタばれ」へ。
    制作サイドの課題だと思うが、梅雨時(観劇した日も小雨)であることを考慮した対応をお願いしたい。会場は、1階と地下の両方を借りていたようだが、1階会場の在時間は地下へ誘導する10分程度だった。それであれば、外(公道)で待たせず、受付順に1階会場へ入れたほうが良いと思う。
    素材と場所をかけあわせて起こる化学反応を遊びながら、創作活動を行っている劇団(ttu)からすれば、新宿眼科画廊という「家」のなかにザムザ家が立ち上がる瞬間を楽しでもらう、という演出効果を狙ってのことは承知の上で…。
    また、地下会場は冷房がきき過ぎだった。


    さて「変身」刊行100年目を迎えて、描いたものは…。

    ネタバレBOX

    「変身」は、ある朝セールスマンのグレゴール・ザムザが、途方もない“虫”になっていた。本公演は、この男ではなく、その家族の視点で描いている。変身した主人公が『不在』であり、グレゴールが変身する前に借りてザムザ一家が住んでいたかつての『家』からの視点て『変身』を描く(山田真美 女史)。この劇団の真骨頂である「素材と場所の化学反応」である。

    主人公が虫に変身して、自分の人間感情が段々と壊れていく狂気・恐怖の過程は伝わらない。逆に家族(一家)との関係が浮き上がるはずだが見えない。始めは家族の繋がりが見えるが、いつの間にか疎まれ邪魔扱い。主人公不在であるから家族による間接状況が上手く表現できるか。小説は「虫」が見えないが、自分で想像できる。芝居は可視可能だと思うと、その存在を無視出来ない。それだけに家族(周囲)状況が追い込まないと不思議感覚が立ち上がってこない。そう、画用紙の中心を淡色で描いた場合、その周りを色彩強くしないと暈けるような。自分の感性が乏しいのかも...。

    演出は、1階ザムザ家から地下ザムザ家へ誘導する。そして、舞台中央の四角いテーブルと四脚の木椅子に集中させるため、終始薄暗い中で蠢く人物。その人物の手には俯瞰するような四角い又は歪め額縁、虫眼鏡をイメージさせる小道具。そしてこの小説の象徴的なリンゴも。役者は役柄を変えながら巧みに演じる。この演出・演技は確実に家族の小さな(立場)変化、時間(社会的状況)の流れを現しているのだ。

    稽古では、虫を演じないことからスタートしたと...。騙られることに気をとられていると、(小説)語られていることを見逃すかららしい。

    やはり自分には、カフカの「変身」は過たるほど難しかったかも。

    次回公演を期待しております。

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    2015/07/18 21:08

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