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公演
私は太田、広島の川
観てきた!クチコミ一覧
クチコミとコメント
公演情報
フランス演劇クレアシオン「
私は太田、広島の川
」の観てきた!クチコミとコメント
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アキラ(1498)
満足度
★★★
川は流れていく。しかし、川には記憶が残る
広島の原爆投下を中心にその前後を見せていく。
ネタバレBOX
タイトル通りに、「太田川」が主人公の物語。
原爆投下を物語の中心に据え、その前後を太田川が見せていく。
舞台の上には、原爆ドームを思わせる骨組みがある。
開演前には、川のせせらぎのSEが聞こえる。
太田川を中心とした物語ではあるが、原爆投下の意思決定をしたホワイトハウスとB29の発進基地でもあったテニアンも描かれる。
広島では、姉と弟の物語が太田川を挟んで語られる。
8月6日に交わる、太田川と姉と弟。
短いが、苦しいほど、切ないエピソードだ。
彼らのそれまでの暮らしが丹念に描かれているわれではないが、それを思い起こさせるようなエピソードだった。
そのとき、太田川がどうなったのかは考えたこともなかった。
一瞬にして熱湯となり、そして蒸発していく。
海の向こうでのエピソードは、ホワイトハウスで大統領と科学顧問のやり取りがある。
ルーズベルト大統領は、使用を躊躇する。
しかし、とにかく、開発して、それを使ってみたい科学顧問とのやり取り。
科学顧問は、政治的なことは……と言いながらも、大統領が提案した無人島での使用することで日本に対してアピールすることには、反対する。「街」に、「人」に使ってみたいのだろう。
そして、ルーズベルトの後のトルーマンが使用を決定する。
しかし、これとテニアンのエピソードは本当に必要だったのだろうか。疑問に思う。
なんとなくこのシーンは、歯切れが悪い。
「躊躇した大統領」ということを伝えたかったのか、「戦争を終わらせるため」という言い訳的な、政治との関係を入れたかったのかはわからないが。
太田川が主人公であるのだから、そこに集中すべきではなかったのか。
優雅に流れていく太田川が、その瞬間に熱により蒸発し、そして、元の川に戻っていく。
川は流れていく。しかし、川には記憶が残る。
本作は、ジャン・ポール・アレーグルの作品で、翻訳と演出は、岡田正子さん。
岡田正子さんは、「1948年文化学院卒」とあるから、お幾つなのだろうか。
ロビーにいらした。
太田川の表現にはダンスを加え、シーンのつながりもきれいだ。
若々しさを感じる演出だった。
原爆は、悪いものである、という気持ちは伝わったか、使ってしまったことへの、言及がない。
淡々としているような感じさえする。
つまり、「太田川」という人ではないものが主人公であることから、出来事を俯瞰しているような、外から見ているような感覚がするのだ。
それは戯曲の狙いなのだろうが、もっと揺さぶってほしかったというのが本音だ。
太田川に焦点を絞って。
ルーズベルト役だった西本裕行さんが、公演の直前にお亡くなりになった。
「ムーミン」でスナフキンの声をしていた方だ。
代役を立てずに、ルーズベルトの座る車椅子だけが舞台の上にあった。
ご冥福をお祈りします。
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2015/07/06 07:29
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