『リア王』他一編、…公演は無事終了いたしました。お越しの皆様、ありがとうございました。 公演情報 楽園王「『リア王』他一編、…公演は無事終了いたしました。お越しの皆様、ありがとうございました。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    熱演だった
    「リア王」は、2014年名古屋七ツ寺共同スタジオ(「板橋ビューネ」参加作品)にて好評だった上演作の凱旋公演だそうである。その演目だけでは短い(1時間)と思い、併演したのが三島由紀夫作「火宅」であるという。さて上演「火宅」「リア王」は、両作品に共通した枠組みは”家族”であった。家族、その近しい関係でありながら、他方で疎ましいと思えるときがある。この厄介に思える煩労劇...秀逸だと思う。

    ネタバレBOX

    公演から逸れるかもしれないが、劇団名は芝居で登場したキャンデーズ→後”楽園”+リア”王”=「楽園王」を意識しているのだろうか。なぜなら、この公演「言葉」をずいぶん意識したと当日パンフに書いてあるから。

    さて、「火宅」は読んだことも、芝居を観たこともない。初めての作品でとても興味を惹いた。タイトルから檀一雄「火宅の人」、内容から太宰治「斜陽」、ラストシーンから「道成寺」を連想した。その芝居は寂寞感が漂い、耽美的な雰囲気を醸し出していた。没富豪の家(華)族が、夫婦、母娘、父娘の夫々の関係を通して描かれる。その静寂に響く心底探りあいの濃密な会話劇。ラストは火焔に巻かれ悲鳴が...。
    舞台にはいくつかの椅子、ソファがあるだけ。役者はその周りを回るだけの動作。その単調な中にも苛立ち、嫌悪が滲み出ており観応えがあった。

    「リア王」は家庭内の不和から逃避しているのだろうか、妻/リアが文庫本「リア王」(?)を読みながら、その妄想世界に浸りという、こちらも劇中劇で観応えがあった。現実での夫/仮面との会話、戯曲内の妄想(妻が「リア王」という設定)で、娘3人との緊張感ある芝居。ちなみにこの3姉妹が登場する時、キャンデーズ(後楽園のサヨナラコンサートを彷彿)の曲を歌いながら登場する(巫女姿)。登場のさせ方としては、それまでの雰囲気から異質であった。多少の違和感があるが、一度に登場させるには有効な手法として肯定したい。リア王として、娘の思いやりの真偽が見抜けず慟哭するが、一方の現実の世界では娘の自殺を止めることもできず、その幻影を...。
    こちらの芝居は、妻/リアの身体表現もあり、動的な場面も多い。そして心魂震えるぐらいの熱演であった。

    最後に演出について、pit北/区域…劇場は2方向から観る造り(L字型)で、今回は縦線側が正面になっていた。そして、上階バルコニーでも演技をする場面があったが、たぶん前2列(自分は2列目にいたが、前屈して見上げた)までしか観れないと思う。案内係の人の「早く来たお客様だけ...」という説明が虚しい。演出に一考の余地があろう。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/06/29 18:15

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