新宿・夏の渦 公演情報 ピープルシアター「新宿・夏の渦」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    船戸さん追悼に相応しい質

     初日を拝見。いきなり、この世界に引き込む序盤。この世界を知る者にはリアリティーを感じさせ、知らない人々にも興味を湧かせるであろう、虚々実々の世界を生身で生きる哀しさを描いた秀作。

    ネタバレBOX

     普段は、役者のことについて余り書かない自分だが、今回は船戸 与一さんの原作でもあるし、脚本で何処をどれだけ変えているかについては観てもらうことにしておきたい。ピープルシアター創立35周年記念公演の第一弾と銘打って催された今作、実は、客演が多い。その代わり、と言っては何だが、劇団を代表する役者、ミロママ役の二宮 聡さん、あばた面のガキと駆け落ちした熟年美女、勝代役の伊東 知香さんは不動にしても、いつも、役者魂を見せ、内容の伴った演技をして来てくれたサーシャ役の西丸 亮くんが今回も華のある演技を見せてくれた。彼の顔立ちが、オカマ役をやらせてこんなに美しい、とは思わなかった。普段、とても礼儀正しい、どちらかというと精悍な顔立ちの好青年なのだが、ホントにキチンと役を作ってくる良い役者である。客演陣も芸達者が揃って、下世話な雰囲気を盛りたてる。
     私ごとで恐縮だが、銀座、赤坂も好きな街ではあるが、最近では妙に大衆化したと思っている。それに引き換え、新宿、池袋は自分の若い頃から現役のごった煮である。其処が良い。ガキの頃は原宿・六本木、外人しか来ない店だけが粋だった頃の恵比寿等でも遊びはしたが、自分には、新宿、袋が合う。丁度、パリのピガール界隈という雰囲気なのだ。粋な店もあれば、下世話な店もある。おまけに人情があるのだ。この点では、宿、袋、ピガールは共通している。そこで必死に生きるおかまたちの孤独を描いて見事である。
     全体として、筋の展開、舞台美術・装置関連の手際など演出のバランスもとても良い。

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    2015/06/18 03:30

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