ちょぼくれ花咲男 公演情報 文月堂「ちょぼくれ花咲男」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    華やかな舞台
    第一印象は、江戸情緒が感じられる雰囲気のある公演である。
    ちょぼくれ...江戸時代の大道芸や門付け芸の一つであり、鳴り物を手に口上に節をつけて歌い踊る。
    さて本公演の時代背景は、江戸中期の田沼時代...重商主義政策の下で花開いた江戸文化(芸道)がイメージでき、その華やかさが見事に現されていた。その観せ方として、客席は凹型で三方(正面と上・下手にも座席)が設けられ、役者は舞台と客席前方との間の通路も利用し、広いスペースの中で生き活きと動き躍動感にあふれていた。

    そして、この芸人一座に特別な芸をもった「花咲男」が加わり、匂(臭)うほどの騒動が...。

    ネタバレBOX

    この公演の素晴らしいところは、多くの役者が登場するが、夫々のキャラクターが確立され、その立場がわかること。だから役者が多くても物語がわかりやすく、観客の気を逸らさない。まさしくエンターテインメントと呼ぶに相応しい。大衆演劇として楽しませるだけではなく、その内容にも世相風刺がさらりと盛り込まれ、観客に問題を投げかける。その教訓染みない絶妙さが見事である。

    さて、歌舞伎では舞台下手にある役者の通り道を「花道」という。花道の外側、さらに下手にある客席ブロックを俗に「花外」あるいは「ドブ」というらしい。人生という舞台において、人の引き際にも花道とその隣りあわせのドブがある。歴史を学ぶ時、田沼意次のイメージは袖の下...いわゆる贈収賄政治で、晩年は蟄居へ追い込まれることになる。それでも庶民の生活は厳しくなっていく(最近は再評価もあるが)。

    本公演は、江戸時代における町人生活(芸一座、吉原遊興など)、武家社会(世継ぎと権力闘争)で生きる人々をうまく繋ぎ、明和の大火事を乗り越えて逞しく復興(復座)させていく姿が小気味よい。この流れは、今の時代(格差社会や震災復興)を投影しているようで...

    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2015/06/15 17:53

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大