マインドファクトリー~丸める者たち~ 公演情報 かわいいコンビニ店員 飯田さん「マインドファクトリー~丸める者たち~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    確かに、ある意味で喜劇。でも断じてコメディーじゃあない。/約145分
    超ワンマンで横暴な監督のもと、普通の高校生には無縁な数々の理不尽を味わわされる野球部員たちの物語。
    監督の言動・行動には想像では生み出し得ないリアリティと凄み、いやったらしさがあり、話はほぼ実話だろうと想像されるが、作・演出家の分身とおぼしき主人公はよくもあんなつらい日々に耐えたもんだなぁ、とつくづく。
    主張する演劇ではなく、客に問いかけ考えさせるタイプの演劇なので、腑に落ちないものを抱え込んで劇場を去る人も多かろうし、私もその一人だったが、主人公も監督も配役がドンピシャだわ、監督の鬼っぷりを示すシーンはハンパない生々しさだわ、百花亜季さんの役どころは魅力的だわ、何より話がリアルだわで、私はむんずと心をつかまれ、150分近い上演時間もさほど長くは感じなかった。
    そしておそらく、いろんな工夫が盛り込まれた攻めの演出も見飽きなかった一要因。

    ネタバレBOX

    で、この問題監督に言いがかりをつけられては殴られていた苛酷な日々は、主人公すなわち作・演出家の人格形成にプラスに働いたのか、マイナスに働いたのか?
    チラシの文章を読んだ上で鑑賞すれば、当然のようにこんな疑問が湧いてくるが、それには答えずに劇は終わる。
    この点について作・演出家はどう考えているのか、アフタートークがあれば聞いてみたかったもの。
    ただ、作・演出家は先輩演劇人からの人望もあついようだし、現段階では「まとも」な人生を歩んでいるように思える。
    だとすると、今のところ大きく道を逸れてはいないその人生には、野球部時代に培った我慢強さが糧となって生かされているということなのか?
    ならば、問題監督のもとで過ごした日々は無駄ではなかったということなのか?
    それは作・演出家自身にも分からないのかもしれないが、面白く感じたのは、監督が“完全なヒール”としては描かれていない点。
    “この人にも一理あるかも…”
    そう思わす余地を残すような描き方がなされているのは、作・演出家がこのワンマン監督にいくばくかの正しさをどこかで感じているせいなのか?
    それもやっぱり分からないが、一つ思ったのは、監督との出会いがなくても作・演出家は演劇をやっていただろうかということ。
    自分のことじゃないから軽々なことは言えないけれど、おかしな監督との出会いが呼び起こした“人間って何だ!?”という問題意識が作・演出家を演劇へと後押ししたということはあってもおかしくないかもしれない。

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    2015/06/11 08:06

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