満足度★★★★
女の応援歌は屋根まで飛んで、消えた。
初ブス会「男たらし」は緻密にリアルに作られた芝居だったが、「女のみち2012」(再演)は祝祭性の勝った芝居にみえた。アート指向のシアターイーストは猥雑さを漂白する。のっけからのけぞる××シーンのインパクトについて振り返ると、テレビ視聴率的な反応を、どうも観客に促すところがある、そういう空気が出来てしまう劇場なのではないか。女はきわどい事を口走ったり艶笑なシーンが訪れると、終始、男が反応よく笑いを上げた(会場の笑いの声は男であった)。「俺はこれを楽しんでるぜ」アピールが、舞台上の次の台詞をしばしば邪魔して、どうにも気になったが、これは「演劇=コミュニケーション」たる証しだろうか。
作り手自身が楽しんでいる、それは確かに思えるが、切実さと裏腹な台詞にも男の笑い声が被さった。人間の滑稽さを笑うとは、自分自身を笑う行為だと思うが、女の本音を男は本心から自らの事のように笑えるのか・・・。
AV業界復帰した女の「痛さ」は、よくよく想像すれば、大変痛い。その痛さあっての、ラストだったんだな。・・会場を去りぎわ、まぶたを激しく拭いている女性(単にアレルギーだったかも、だが・・)が目に入った時、「笑う」しか能のなかった己を、思わず省みた。