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幕が上がる
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パルコ・プロデュース「
幕が上がる
」の観てきた!クチコミとコメント
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雨模様(5627)
満足度
★★★★★
素晴らしい!!
これまでの中で一番素敵な「銀河鉄道の夜」でした。
ネタバレBOX
新任の吉岡先生は学生演劇界の女王だったこともあってさおりに頼まれ演劇部の指導をすることになり、地区大会を通過する大原動力になりました。その間夏合宿の一環として部員たちをこまばアゴラ劇場に連れて行ったことがありました。因みにそのときの演目はうさぎストライプと木皮成『デジタル』でしたね。後輩たちのお芝居を観たり、知り合いと再会したことによって吉岡先生は演劇魂に火がつき、大物俳優が出るお芝居のオーディションに誘われ、受かり、同じく教師をしている母親の反対を押し切って女優への道を志すことになり、県大会を前に学校を辞めましたというのが映画版『幕が上がる』で、ずばり、吉岡先生の話でした。そして、決してそんなわけでもないのですが、頼りない溝口先生が相変わらず顧問をしているという前提で舞台版が始まります。
舞台版『幕が上がる』は、さおりたちは吉岡先生に対して複雑な気持ちを持っていつつ、県大会を前にもし優勝しても3年生は来年の全国大会には出場できないという状況下で、優勝と来年に繋がるための練習をする部員たちを描いた話でした。
転校生の中西さんが、前の高校で声が出なくなって演劇部を辞めたのと同じように声が出なくなりました。精神的な原因によるものとのことで、一瞬彼女は宇宙人かと思ってしまいました。壮大なSFになるのかなと思いましたがすぐに中学生時代に岩手県で大震災を経験していたことが分かりました。彼女が住んでいたのは盛岡で、直接的な被害はありませんでしたが、ボランティアで行った先で、保護者からの連絡を待つ役目を担った小学校の事務員さんが、ただ一人学校に残って津波の犠牲になったそうです。
カンパネルラの髪が濡れているという言葉が中西さんに直接津波を連想させたわけではありませんでしたが、事務員さんの最期や他の多くの犠牲者のことを連想させ重くのしかかったのだろうと思います。
銀河鉄道の夜が現実と重なりました。船から落ちた子供を助けようとして亡くなったカンパネルラの行動は正しい行動の一つでしたが、浮き輪を投げ込むとかの方法もあったかもしれません。事務員さんの行動も選択肢の一つでしたが、子供のことを心配する親からの電話を待つことがそんなに大事なことだったのでしょうか。他の先生や児童たちと一緒に逃げることの方が本当は重要だったのだと思います。
しかし、とっさのことです。そのとき思いついた正しい行動を執ったカンパネルラの、「正しいことをしてお母さんは許してくれるだろうか」の言葉は響きます。
そして、宇宙を一周して帰ってきても大切な友人の死を受け入れるのは大変なことだと思う彼女らに対し、カンパネルラのお父さんは45分で全てを受け入れ、ジョバンニたちに家に遊びに来なさいと心遣いまでする素晴らしい度量の持ち主だと改めて知りました。
ちょっと舐めて観始めましたが、物凄く現在的で、一番素敵な「銀河鉄道の夜」でした。それまでのジャージ姿の練習風景から衣装に着替えた本番シーンに自然に切り替わったラストシーンのお父さん役の高城れにさんが立派に見えました。
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2015/05/04 15:02
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