満足度★★
これは、少しむずかしい演劇だった。
笹部博司によると、役者は、舞台に解き放たれたときひとりの人間であるという。役を演じてはいるのであるが、人間としてその舞台に上がっているに違いない。
俳優が、ある役を演じているとしても、そこに留まるべきではない。ただ、演技しているのでなく、アクティブに役を作りだすべきととなえる。
素晴らしいセットや、あるいは、美しい音楽も、ことばによる力には勝てない。とりわけ、イプセンなどの古典鑑賞には、ことばに対する畏敬の感情が見える。
ただ、そのような真理もあるが、ものごとを役者が大げさに表現し過ぎてもだめ。逆に、ことばなどなく目で人は、気持ちを伝えるように直観で伝わるものもある。
で,感想・・・
これは、少しむずかしい演劇だった。タイトルに引かれて、見にいった。満員で、とても見にくい後方垂直の席。予約したとき、ファンで買い占められていたようだ。
最初から、四人で死のう、子どもだけ残してはかわいそう。毒薬はちゃんとあるのか。話のつながりもよく見えず、眠くなったところで休憩になった。
大学の教授もたいへんな商売だ。会議のメンバーから下ろされたり、教科書作成者の資格を失う。これじゃ食べていけない。この部分はしんみりと納得できた。
ふたたび、どこが空想でどこが現実なのかわからない。中央においたミラーボールみたいなものに、軽く催眠状態にかかったかと思っているうちに終了した。
少し背伸びして、慣れない世界をのぞいたことになる。場所があまりに遠いので、演劇がテレビでも見ているように退屈なものになったかもしれない。でも良い演劇。