お暇をこじらせてⅡ 公演情報 aji 2021年活動終了「お暇をこじらせてⅡ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    海外文学二作品を巧みに編集した佳作/90分強
    カミュ『正義の人びと』とワイルド『幸福な王子』。この二作を原作とし、「正義と幸福」に真っ向から迫った舞台作品。

    両作を90分でやりきるのは無理なので、どちらもかいつまんであるのだが、話の編集がとても上手く、骨子をきちんと押さえてあるため、原作を知らなくともおそらく理解は可能なはず。

    思わぬ趣向を取り入れ、さらに音楽と照明を効果的に用いた演出も素晴らしく、「正義と幸福」を主題とする大真面目な作品にもかかわらず、面白く鑑賞できた。

    それでも、我々に身近でない「革命」を扱った『正義の人びと』を軸に劇が進むため取っつきづらいところもあり、眠気を誘われやすいのも事実。

    今作のテーマを伝えるため、そして眠気を覚ますため(?)随所で「語り部」が登場し、マイクを使って軽快に喋るのだが、いかんせん言うことが分かりづらく、かえって眠気を促す結果になっていたのは残念至極。

    ただし、眠気を誘う内容でも良作は良作。
    本作を含め、出来がいいのに眠気を誘う演劇作品は少なからず存在する。

    印象に残った俳優は『幸福な王子』でツバメを演じた若手女優。情感あふれる豊かな演技に魅きつけられた。

    ネタバレBOX

    ピエロメイクをした役者たちがズラリ並んで椅子に座り、客席に向かって語りかけるようにセリフを発する『正義の人びと』の演出にはビックリ!
    ただ、一様なピエロメイクは各人から固有性を奪い、「正義と幸福」が誰彼問わず全人類に共通の普遍的な悲願であることを印象づける上、手に入れ難いそれらを求める人間の営みの滑稽さや哀しさを表してもいて、とても効果的だったと思う。

    最も感動した場面は、革命の第一歩たる大公襲撃が成功する直前、革命グループ一同が成功の予感に酔い痴れるかのように湧き立つシーン。
    乱舞し絶叫する役者たちと晴れ晴れしい照明が込み上がる歓喜をこれでもかとばかりに伝えてきて、胸が震えた。

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    2015/02/02 14:44

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