満足度★★★★
海外文学二作品を巧みに編集した佳作/90分強
カミュ『正義の人びと』とワイルド『幸福な王子』。この二作を原作とし、「正義と幸福」に真っ向から迫った舞台作品。
両作を90分でやりきるのは無理なので、どちらもかいつまんであるのだが、話の編集がとても上手く、骨子をきちんと押さえてあるため、原作を知らなくともおそらく理解は可能なはず。
思わぬ趣向を取り入れ、さらに音楽と照明を効果的に用いた演出も素晴らしく、「正義と幸福」を主題とする大真面目な作品にもかかわらず、面白く鑑賞できた。
それでも、我々に身近でない「革命」を扱った『正義の人びと』を軸に劇が進むため取っつきづらいところもあり、眠気を誘われやすいのも事実。
今作のテーマを伝えるため、そして眠気を覚ますため(?)随所で「語り部」が登場し、マイクを使って軽快に喋るのだが、いかんせん言うことが分かりづらく、かえって眠気を促す結果になっていたのは残念至極。
ただし、眠気を誘う内容でも良作は良作。
本作を含め、出来がいいのに眠気を誘う演劇作品は少なからず存在する。
印象に残った俳優は『幸福な王子』でツバメを演じた若手女優。情感あふれる豊かな演技に魅きつけられた。