満足度★★★
重めながらも
実在した死刑執行人の話に現在の死刑執行人(刑務官)の姿を重ねた物語かな。最初世界観に入りきれない感はあったが、死刑執行人達の苦悩の描きかたはなかなか上手く、重めのテーマながらよい感じに仕上がってた。
満足度★★★★
月並みだが、面白かった
大括りにいえば、フランスと日本・江戸時代/明治初期および現代の死刑執行人に関わる人間の苦悩といった話だろうか。日本に死刑制度がある以上、直接か間接かの違いはあるが、その執行に携わる人間がいることには違いない。
この公演を通して「死刑制度」そのものの是非を問うには材料が不足している。まぁ、観客がどう感じ思い描くかは勝手であるが…それほど強いメッセージを発していたか疑問である。
家制度における死刑執行人は世襲であり、その役割(罪人の処刑)こそが自分も含めた一族の「生きる」道だった、という皮肉な話である。現代における問題は「家」という世襲から、個人と家族の悩みとして描かれていた。この公演は、多面的・深耕的な問題提起をしているようだが、芝居としてはわかり易い見せ方になっていたと思う。特に、フランスと日本という国の違いや時代の切り替え演出には、暗転だけでなく、ダンスパフォーマンスを取り入れ魅せる工夫をしていることに好感を持った。
観客が思い、考えるという芝居の醍醐味が感じられ、十分楽しませてもらった。
なお、些細ではあるが疑問も…。
満足度★★★★
長い芝居は嫌われる。
なんてことを劇中で言われたり客席いじりされてましたが、
2時間越えのこの作品、長いなあーとは感じませんでした。
過去の2人について知らなかったから、というのもあるでしょうか
3つの物語を合わせてよりも1つ1つを90分程度の単独作品として観たかった気持ちもありました。
特に現代の、奥さんの過去のエピソード、父と娘の物語を。
今、実際にそういう仕事に就いている方がいるわけですが、
どうなんでしょうねその時のその心中は。
満足度★★★
そのテーマについて話すべきなのでしょうけれど
そのテーマについて話すべきなのでしょうけど、芝居の部分について。
自分にはどうしても芝居が古臭く観えてしまった。
これだけテーマの比重が大きい作品は、出来るだけストレートに余計な要素を排除する必用があると自分は思います。
満足度★★★
観劇の感想です.
日頃死刑執行人に付いては,考えるきっかけはないのです。元公儀介錯人、拝一刀が一番近い(私にとって)そんなことを思いながら興味深く観ることが出来ました.人がいやがる仕事をしてくれている人がこの世には存在している.仕事は望んで着く部分もあるとは思いますが,そこに至る道は自分の親、環境など運命の道筋と言うか,あらがえない部分があること。そうなのだろうな.と理解できました.そこでどう生きるか,刑務官の宣言は矛盾していてどうしたらいいのかなと思いますが,宣言したことに意義があるんだなと思いました.踏み出す為には明らかにしないといけないですね.
私はラストの部分は劇団の特色なのかとは思いましたが,階段のシーンのかっこいいところで終わっても良かったのかなと思いました.
満足度★★★★
取り組みは好き。
面白い演出も見受けられて良かったが、内容に違和感を覚えたのは、別に書かれている方の指摘があるからなんでしょうか。ヤングジャンプのイノサンを読んでるのでそちらの印象は強い。時代と国が違うので繋ぎが難しく感じたのもあるが、こういう試みは好きです。動画でも死刑や人が死ぬのは見れるが、どのくらいの役者が見たのだろう。死刑云々を問う場面自体はなくて良いと私は思います。感じて思うのは観客そのものなのだから。
満足度★★★★★
”投げかけ”をしてくれる作品
「イスラム国」の事件の期限の日、観劇を迷ったけど、観てよかったです。
<戦争>も<死刑>も、そして<テロ>勿論<犯罪>も、人が人を亡き者にするという行為に変わりがない。
『戦争は英雄で、犯罪は死刑囚』この矛盾する構図は<法>という制度を作った人間の共同体がもたらした価値観の破たんである。
ともすると<死刑反対を訴える作品>と取られるようだが、私はそうは思わなかった。
「死刑執行人」の苦しみを<権力者>と称される人間は味わった上で<人殺し>の決断を下しているのか?
<国益>という名のもとに、命令を下しているだけではないのか。
様様な憤りと不信を喚起される作品でした。
多くの人々に観て・感じて欲しい作品でした。
満足度★★★★★
「死刑執行人」を通して見えたもの
鑑賞後、一夜明けて心にのこったのは死刑執行の是非ではなく、自分が関わることの出来る人生の課題についてこれからどう向かい合っていくか?どう考えていくか?ちゃんと考えていこう、という前向きな気持ちだった。国という枠組み、時代によってかわる正義、人が人を裁くということ、親から子へと受け継がれていくもの、死の意味、そして生きるということの意味、などなど。
随所に散りばめられた現代の風刺ともとれる注意喚起がピリリとして、その痛みが心地よくもあった。
劇そのものの出来は初日のぎこちなさもあり、★3.5かな?というところだが、最終的にのこしていただいたもの、良いきっかけを頂いたことへの感謝の気持ちで+1.5の★5とさせていただく。作っている方々は死刑反対団体ではないだろうから、おそらく様々な思いを込めていることが考えられ、少しでもそれらを受け取ることが出来たなら幸いである。千秋楽にもう一度観に行く予定なので、どう完成されているかが今から楽しみだ。
満足度★★★★
刑務官ー父から子へ
現在の刑務官のシーンが印象的でした。
その職業は、一般に開放されているとはいえ、どこの国でも、いつの時代も世襲が多いようだ。
麻痺してしまうのだろうか、今現実に死刑執行をする刑務官が存在しているんは事実だ。
それとは別によく映画で見られる刑務官の悪態ぶりはないのであろうか、その辺も突っ込んでほしかった。
満足度★★★★
「自分の職業は人殺しなんだ」と認めること
奇しくも日本人2名が異国の地で執行人とともに「死」の瀬戸際にいるニュースが報じられるなか1月21日の初演を観た。革命前フランス・パリの死刑執行人・サンソン一族、江戸時代の死刑執行人・山田浅右衛門、現代の法務省矯正局刑務官・オヤマダタダシ。「職業は人殺し」が共通点である彼らを通してとてもよく描かれているなと思ったのは「葛藤」だ。登場人物たちが殺すのは基本的に「罪人」で、時の権力者や社会システムから「殺人行為」の承認を受けているのに、やはり人を殺すことは周りの人間から"そういう目"で見られることから免れないんだなということがヒシヒシと伝わってくる。
死刑が良いか悪いか。死刑を廃止すべき存続させるべきか。ではなく殺人を職業とするということはどういうことなのか。人間が文明を起こして以来、脈々と続いてきた社会的な役割に就いた人々が感じた「心の内」を描き出し「あなたはどう思う?」と問いを投げかけることで、観客の心のなかにモヤモヤを生もうという脚本家兼演出家の仕掛けにまんまとはまってしまった自分がちょっと悔しい。
満足度★★★
本当にそうだろうか?
普段はほとんど取り上げられることのない執行人の心情や苦悩を描いた点で目新しさと意欲は買えるが、現代の執行人の心情はもっとドライなものではないか? 実際には何人かの執行団で心理的負担が分配される訳だし、名前が公開される訳でもないし、大臣の執行決定に従って任務を全うしているだけなのだから。仕事や任務ということになると人間的な感情が抑えられることは理解できる方も多いはずです(「屠殺」がその一例)。
それよりは死刑をジャッジした裁判官や裁判員、執行を指示した法務大臣、死刑囚の被害者遺族などの心情の方がもっと重く複雑ではないだろうか。むしろそちらを主題にストーリーを組み立てていただいた方が死刑という問題をもっと深く見つめることができたと思う。
さらに昔の執行人に関して言えば、武士や騎士など戦いを生業に「死」に隣接して生きている人々であり、また罪人に対する恨み憎しみに加え、生きるのに精いっぱいという時代背景も重なって、執行にあたっての苦悩や心理的重圧はそれほどでもないのでは?と考えてしまった。少なくともそのような重圧を感じない人が執行を引き受けたはずだ。
相当綿密に調べ尽くされた上で作り込まれたようなので、このような観方は正しくないのかも知れないが、自分の尺度では疑問に思うところも多く、描かれる世界にどっぷり浸ることができなかった。
満足度★★★★
オスプレイの飛行高度
いくつか指摘しておくべき点がある。先ず、リーフレットに書いてあることから。山上たつひこ「がきデカ」に関して記している文で「国家」への「信頼」が、まだまだ揺るぎない時代でもあったように思う。とあるのだが、山上は、「がきデカ」の前に「喜劇新日本思想体系」を描いており、その前には、「光る風」を描いていて、この作品で弾圧を喰らったという話が、当時流れていた。結果、彼は、国家をおちょくる路線に転じた、と観た方が自然なように思う。