韓国現代戯曲ドラマリーディングⅦ 公演情報 日韓演劇交流センター「韓国現代戯曲ドラマリーディングⅦ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    リーディングの可能性・「韓国現代」の発見
    3戯曲中2作品を観劇。予定1本、急遽時間が出来てもう1本。いずれもどっぷり「家族」の物語だった。『五重奏』は久しぶりに顔を揃えた異母四人姉妹と老いた父の奏でるアンサンブル、到底美しいとは言い難いその、「情」の雫が決して潤す事のない無味乾燥な砂漠のような家、家族、関係が描かれる。近親者ゆえにぶつかり吐き出される感情が渦を作りドラマティックな帰着を予感するが、次の瞬間現実がさほど甘くない事を思い知らされる。『アリバイ年代記』は主人公である男(次男)の現在の語りによって、教師であった父の過去と、彼自身の歩みの節目となる出来事が語られていく。一見淡白な台詞の中にジュンとくる潤いがあった。一方、場面の「強烈な背景」として現代史上の各シーンが浮かび上がる。まず父の生まれは日本の大阪。植民地時代。朝鮮へ渡り、戦乱。米国傀儡、独裁時代、民主化闘争。そこには兄の姿も。映像が傑出で、戯曲に盛り込まれた固有名詞、歌曲、歴史的場面が能う限りの丁寧さで映像また音として流れ、資料収集の苦労が想像された。タイトルにある「アリバイ」は父の生き方の事で、劇中2度語られる。一度目は前半、息子の口から肯定的な意味で、二度目は父自身の口から、否定的意味を帯びて。アリバイに生きた人生という軸が通る事により、父の姿とその背景である歴史との分ち難い二つが鮮明な輪郭を残した。
    この企画は昨年から観て二度目。現代韓国を知る、という事にはなるが、かの文化・風俗・歴史を通して、実はそれらではなく、固有性を突き抜けた普遍的な「人間」を再発見する体験を提供する。刺激的な企画だが、残念ながら開催地は日韓交互で、次は2年後らしい。

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    2015/01/24 07:46

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