○○階から望む 〜集合住宅編〜 公演情報 Baobab「○○階から望む 〜集合住宅編〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    D-incline projectとは?
    Baobabの第二段階とでも位置づけられよう。第一段階で目指された身体のみならず人間を描くというテーゼから、身体性と抽象性に重点を移した創作になっている。

    ネタバレBOX


     マイムとダンスの差は、マイムの場合、具体的で実際の事象を身体を用いた形態模写で表現するが、ダンスは、より抽象的で、必ずしも具体的な何かを模写しているわけではない。いわば、音楽に似た表現形態を採ると言えよう。従って、今作でも、居住空間に於いて身体を立ち上げるとは如何なることか? が追求されたり、Baobabのダンサーたちが、構築しているのが、生活の再現であるのか? 等々が、良く考えられ工夫された舞台装置やデザイン、色彩とセンスの良い照明、BGMとBGM無しの対比などに適宜用いられる映像表現とのコラボレーション。ダンサーたちのバリエーションに富んだコラボレーションやソロの組み合わせ等々を通じて展開される。
     殊に、主催の北尾 亘のダンスは見事である。難易度の高い動きを舞台の縁で演じることによって客席に緊張感を持たせる演技、動から静へ至る時の止めの確かさ、足指の先から手指の先迄エネルギーを集中させ、コントロールした動きは、演技を実に大きく見せる。他のダンサーと至近距離で踊る際の動体視力の良さも抜群である。
     傳川 光留のジャンプ力、身体能力の高さも評価したい。役者も兼任しているので、これからは、演技、ダンス双方で活躍して貰いたい。
     女性ダンサーでは田中 かおりの切れのあるダンスがグー。何れにせよ、出演者のダンス技術は高い。抽象度は高いものの、時間的経過等を勘案しながら観れば、結構想像は外れない。また、ダンサー全員によるコラボレーション場面の美しさは、其々が、異なる動きをしていることも考えると、稀有な美しさを実現したものとして、高く評価したい。その後に繋がる映像では、生命そのものをミクロで捉えたような抽象映像であることによって観客の想像力を刺激し、更に続く映像では、プリミティブな絵のような表象で走る二人の人物を表したようなイマージュが映し出される。と共にダンスが行われることによって、未来への希望さえ感じさせる。様々なチャレンジのある公演である。

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    2014/12/16 02:43

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