トロワグロ 公演情報 城山羊の会「トロワグロ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    最後まで居心地の悪さを拭いきれないまま鑑賞/約95分
    城山羊の会との初手合いとなった本作は、これといった主張もテーマも特に無さげな、会話主体のちょっぴり毒っぽいコメディ。

    このテの芝居は大好きなはずなのに、本作とは馬が合わず、全体に漂う小洒落た感じ、ソツのない脚本・演出、そして劇団とお客さんとが形作る内輪的なノリに反発を感じてしまいすんなりと劇世界に入っていけず、最後まで居心地の悪さを拭いきれないまま鑑賞。

    なかんずく、内輪ノリ。
    どうやら大半のお客さんは固定客で劇団のシンパと化しているらしく、作者が笑って欲しそうなところであたかもリハーサルでもしたかのように声を揃えて笑う。
    これが私には気持ち悪くてならなかった。

    なお、「ソツがない」のは中盤過ぎまでで、終盤の30分ほどはソツだらけ。というか、はっきり言って蛇足。
    “上演時間60分”では格好がつかないからと水増ししたのがバレバレ。
    それまでは会話の運びもきめ細やかだったのに、1時間を過ぎた頃からいきなり大味になって、無理やり話を引き伸ばしたのだとはっきり判る。

    かくかくしかじかで尻すぼみな印象は否めなかった。

    ネタバレBOX

    某社の専務宅で開かれたホームパーティのバックヤードを描いた会話劇。

    パーティ会場にあてられた大広間からその脇のロビーに家主夫妻、専務の部下とその奥さん、等々が三三五五集まってきて雑談を交わすうち、専務と部下の細君同士がくだらないないことから口論をおっ始め、これを契機に様々な小騒動がロビーで繰り広げられる。

    奥さん同士の口論のくだりは異様にウケていたが、可笑しみよりも毒っ気のほうがより強く感じられて、私はほとんど笑えなかった。

    そもそも、舞台となるのがアッパークラスの家庭というのが気に入らない。小金持ちが暇にあかして引き起こす空騒ぎを描こうというその姿勢がなんだか80年代的、バブル期的で、格差社会化により貧困層も増えつつある今と言う時代がまるで反映されていない。

    作者は「普通に生活することを普通に描けないものだろうか、と思い立ち」本作を作ったそうだが、家主一家が送っている生活は明らかに“普通以上”であり、これを「普通」と呼べてしまう、世間との感覚のズレにもげんなりさせられる。

    しかも、アッパークラスのノリというのがなかなかリアルに表現されていて、上流とは無縁な私はますます不快になってしまった。

    …と、ここまで、ほぼ否定的なことしか書いていないが、じつはとても気に入ったシーンが一つあって、それは専務の部下の奥さんがソウルミュージックに合わせて活き活きと踊る場面。
    その振り切れた踊りっぷりと身ごなしのなまめかしさ、そして動きのバリエーションの豊かさに魅せられた。

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    2014/12/01 02:47

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